他人に「軽く扱われない」「振り回されない」ようにするための自己管理術
他人から「軽く扱われている」、他人の都合で「振り回されている」と感じると、誰でもイライラするものです。要するに「バカにされている」「関心を寄せられていない」「なめられている」という意味だと思うからです。「軽く扱われている」ということは「簡単に動かされている」と言い換えることもできるでしょう。
他の人なら断られることでも、あの人ならちょっと頼んだだけですぐに引き受けてくれる。
他人から、このように思い込まれている、ということです。この状態を放っておくと、要求はどんどんエスカレートしていきます。「刺激馴化」という現象です。要求する側が「要求ストレス」の刺激に馴れていき、要求のレベルが引きあがっていきます。さらに問題なのは、断られると「逆ギレ」されることです。相手は「簡単に動かすことができる」と思い込んでいるため、
「今回は、ちょっと難しい」
などと断ったりすると、
「は? そんなこと言わないでやってくれよ!」
と強い態度に出られることもあります。非常に理不尽な態度で言われるため、「軽く扱われている度合」はますます膨れ上がり、イライラも募ってくることでしょう。「カチッサー効果」という言葉があります。他人のある要求に対し、深く考えることなしに、条件反射的に承諾してしまう心理現象のことです。
「ちょっと忙しいので手伝ってくれる?」
と言われ、条件反射的に「いいよ」と返事をしてしまうのは「カチッサー効果」。よくよく考えてみると、自分のほうが忙しく、それを手伝うことで自分の仕事が後回しになってしまったり、相手が怠けたいがために都合よくお願いをしてきているのかもしれません。しかし、「いいよ」と言ってしまってから、
「やっぱり無理。5時までにどうしても、この仕事を片付けないといけないから」
などと反論できないものです。しぶしぶ相手の要求を飲むことになります。そして「どうして引き受けてしまったんだろう」と自己嫌悪に陥るのです。それでは、どうすれば他人から軽く扱われないようになるのか? 振り回されないようになるのか? を解説します。大切なことは「タスク管理」です。
他人から振り回されないようにするためには、1日、1週間、1ヶ月……の単位で「タスク」を書き出し、それらの作業時間を見積り、優先順位を決めて正しく管理することです。
● 今週中に見積り資料を作る
● 木曜日の昼3時から5時までの2時間を使って見積り資料を作る
……の両者では、意味合いがかなり異なってきます。
木曜日になり、午前中に上司から「午後から手伝ってもらいたい仕事があるから頼むな」と言われたとししても、ぼんやりと「今週中に見積りを作らないといけない」と思っている人なら「いいですよ」と条件反射で答えてしまうかもしれません。残業すればいい、明日でも構わないと承諾してから後付けで自己肯定をしてしまうからです。
しかし「木曜日の昼3時から5時までの2時間を使って見積り資料を作る」とタスク管理している人なら、少し考えるはずです。そして
「3時から5時までの2時間を使って見積り資料を作る予定です。それ以外の時間ならかまいませんが」
と答えることでしょう。それを聞いた上司は「それならいいや」と返事をするか「だったら3時まで手伝ってくれないか」と言い直すはずです。
自分を律し、正しく「タスク管理」「自己管理」をしていると他人から見られたら、「軽く扱える」「簡単に動かせる」とは思われないでしょう。他人の都合で振り回されないようにするためには、正しい「タスク管理」をすることです。キッチリと地面に根を張っている人、自己マネジメントをしっかりやっている人は、他人から軽く扱われたり、振り回されたりしないものです。