「自分がやりたいと言った」で、イライラすべきでない理由

子どもでも部下でも、率先して「やるべきこと」をやっていないと、イライラすることがあります。本人が自分の意志で「どうしてもやりたい」「どうしてもやらせてくれ」と嘆願してきた事柄なら、

「そこまで言うなら仕方がない。そのかわり、やるからにはキチンと目標を達成しなさいよ」

と言い、心のどこかで応援してやろうという気持ちになります。そして当然それなりに成果を出してくれると期待するものです。にもかかわらず中途半端に投げ出され、ろくに練習しない、打ち込んでいない、やたらと言い訳してやろうとしない……という状況を目の当たりにすると、イライラしてしまうものです。

たとえば自分の子どもが、ピアノをやりたいと駄々をこねるので、ピアノを買い、ピアノ教室へ通わせたとします。強い意志があるならと、親は期待を込めてピアノを習わせます。しかしながら、いざ始めてみるとピアノを習得することは簡単ではありません。想像していた以上に練習が厳しく、だんだん子どものやる気が失せてくると、親は苛立ちを覚えます。

「どうして練習しないのっ! あなたがやりたいと言ったんでしょう! ちゃんと練習しないと上手にならないわよ」

ついつい、こう声を荒らげてしまうものです。

高いお金を前払いして、英会話教室へ通う。通信教育で資格試験の勉強をする。ダイエットしようとスポーツジムの会員になる……などのパターンでよく見受けられることです。「やりたい」と申し出た本人が想像以上に目標達成が困難な場合、途中で投げ出してしまう、その際、出資者がいる場合は大抵叱られます。

ビジネスの現場でも同じです。自分で「この事業をやりたい」「この商品開発に携わりたい」と言っておきながら、中途半端に仕事をしている姿を見ると、上司は、

「自分で手を挙げたのだから、もっと本気になってやりたまえ! なんだ、その主体性のない態度は!」

と、ついつい言いたくなるものです。しかしロジカルに考えた場合、果たして「論拠」と「結論」は繋がっているでしょうか。

●「論拠」……「自分がやりたいと言った」

●「結論」……「他人にアレコレ言われなくても自ら率先してやるのは当たり前」

です。

この「論拠」と「結論」は、一見繋がっているように見えて、繋がっていません。なぜなら「あなたがやりたいと言ったから」と親が言っても、その背景には親の期待や、親の意図する事柄もあったはずです。極端な話、「学校行かずに毎日家でゲームをやりたい」と子どもに言われて、その通りにさせるでしょうか。「自分がやりたいと言った」という論拠を拠り所に、「それならお父さんやお母さんに言われることなく、自主的に家にこもってパズドラでもモンスターストライクでもやってなさいよ」と言うでしょうか。言わないはずです。

ビジネスにおいても同じです。多少ワガママであっても、部下が「やりたい」と申し出た事柄については、常識的な範囲内で「吟味」しているはずです。うまくいけば組織活性化のためになるし、本人のためにもなる。よし、やらせてみよう、と期待を込めたのです。多くの場合、話し手が感情的になっているし、受け手もそれがわかっているので、このような言われ方をすると素直になれません。したがって「逆ギレ」するしか打つ手はないのです。

「自分がやりたいと言ったんじゃないの! それなら、ちゃんと毎日ピアノの練習をしなさい」

「もうやりたくない!」

「ええっ……? そのためにピアノを買ったのよ。それがわかってるの?」

「そこまで頼んだ覚えないもん。もう知らない!」

相手が「やりたい」と申し出るものすべてを承認するわけではありませんから、論拠はもっと別のところにあるはずです。それを習得することによって何が実現するのか、その目標を達成することにどんな意義があるのか、最初に合意形成しているはず。その意義を「論拠」にして話をしないと、話がこじれていくばかりです。感情のコントロールができないと、このように論理性が崩れていきますので、気を付けたいですね。

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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