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「点」ではなく「面」で考える複利型マーケティング

横山信弘経営コラムニスト

ビジネスで安定的に目標を達成させるためには、何をどれぐらいのアプローチをすれば、どれぐらいのリターンが期待できるのか、これを大ざっぱにとらえる「概算力」が必要です。

(参考コラム:ビジネスで成功するために必要なスキル「概算力」

新規取引先100社に訪問したら、どれぐらいの人が会ってくれるのか。チラシを1000枚配ったらどれぐらいの問合せが入るのか。ネット広告を1ヶ月間試すとどのぐらいの資料請求が来るのか。すべて「アプローチ量」と「リターン量」との組み合わせでできた仮説を作り、考えます。この「概算」ができるようになると、逆算して結果を出せるようになります。

ただ、「点」でとらえていると、短絡的な意思決定をしてしまうことがあります。何事も、一つのアプローチ手段だけで結果が出るわけではないので、時間軸のずれも考慮しなければなりません。そうでないと、

「3月のイベントの来場者は1000人もいたのに、まだ仕事の依頼がない」

「4月にチラシを500枚配布しても、1件の問い合わせしかなかった」

「5月に電話フォローを100人しましたが、仕事の依頼は2つだった」

このような結果を目にして、どれもこれも効率が悪い。何が一番良いやり方なのか、と頭を悩ませてしまいます。前述した通り、時間軸でとらえるのです。

【3月】イベント集客「1000人」 → 問合せ「0」

【4月】チラシ配布「500枚」 → 問合せ「1」

【5月】電話フォロー「100人」 → 問合せ「2」

【6月】電話フォロー「300人」 → 問合せ「0」

【7月】チラシ配布「700枚」 → 問合せ「4」

【8月】電話フォロー「100人」、チラシ配布「500枚」 → 問合せ「1」

【9月】イベント集客「1100人」 → 問合せ「6」

【10月】チラシ配布「500枚」 → 問合せ「1」

【11月】何もなし → 問合せ「2」

【12月】電話フォロー「100人」 → 問合せ「1」

このように、3月から12月までの10ヶ月間で検証したとき、イベント集客は合計「2100人」、チラシ配布は合計「1700枚」、電話フォローは合計「600人」となっています。それらアプローチの総量に対するリターンの問合せ件数は合計「18」となります。

どのアプローチに対してどのリターンが繋がっているのか、わかりづらいときがあります。その場合はこのようにアプローチの「束」で考えましょう。そしてざっくりとした時間の塊でリターン量をモニタリングするのです。チラシ配布や電話でイベントの集客をし、その後、イベント来場者に電話フォローし、次回のイベントも告知する……独立していたアプローチを相互に組み合わせることで「点」を「線」にしていきます。

さらに以下3つのポイントを意識をしながら交錯させるようにアプローチを編み込んでいくと、「点」が「面」になっていきます。

● 連結

●「人」を介在させて距離を短くする

● スピード感

前述したとおり、複数のアプローチを相互に連結させることで相乗効果が高まります。「ネット広告」と「訪問」といった、連結できないようなアプローチを選択するのではなく、「チラシ」「セミナー」「ホームページ」「電話フォロー」「メルマガ」「訪問」……などと、連結できるアプローチをマーケティング戦略に含めることがコツです。

また、前出したコラムに書いたとおり、お客様との距離を縮めるうえで「人」を介在させることでコンバージョン率が安定します。

「チラシを相手に渡しながら、次回セミナーの解説をする」 → 「電話でフォローする」 → 「セミナー会場で声をかけ、アンケート用紙にメルマガ登録を促す」 → 「人間味のあるメルマガを配信する」 → 「売り手の人間性のわかるホームページに誘導する」 → 「定期的に電話でフォローする」 → 「次回セミナーのチラシを渡すために訪問する」……。

仕組みにすべて頼るのではなく、間に「人」を挟みます。仕組みを「擬人化」させることも効果があります。

さらに営業スピードの「重要度計算」に書いたとおり、その「人」がスピード感あふれるアプローチを心がけることで、アプローチに対するリターン速度がアップします。こうして「点」のアプローチが「面」のアプローチへと進化します。

売上をアップさせるために、見込み客を増やすために、イベントに集客するために、どんな「ネット広告」がいいのか? どんな「チラシ」が効くのか? どんな「フェイスブックページ」を作ればいいのか? SEO対策にお金をかけたほうがいいのか? それとも営業トークを磨いたらいいのか……等、「点」でアプローチを考えるのは、やめましょう。ある限定されたマーケティング手法で安定した結果は出せません。

「結果を出すためには、どんな『やり方』がいいんですか?」

「横山さんはメルマガを出してますよね。やはりメルマガですか?」

「去年ブログをはじめたんですが、なかなか結果が出なくて」

何か一つのアプローチ手段に限定して「結果が出ない」とぼやく人がいます。その発想だと、結果が出ないのは「手段」の責任にしてしまいがちです。単利ではなく、アプローチの束で複利効果を狙いましょう。時間を味方につけることで成果は安定的に、しかも雪だるま式に増えていきます。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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