「2014万円」の福袋も売れる! なぜ福袋に飛びつく人がそんなに多いのか?
2,014万円の「ブクロミクス福袋」も売れる!
大手百貨店3社が発表した昨年12月の売上高(速報値)によると、3社とも前年同月比でプラスとなり、年末商戦が成功したことを裏付けています。年が明けて2014年1月の初売り商戦でも、引き続き順調に売上を伸ばしています。そごう・西武は約15万個の福袋を用意し、100万円以上する福袋も売れています。中でも注目を集めたのが、アベノミクスにちなんで命名された「ブクロミクス福袋」!2,014万円の福袋も含まれているということですが、ダイヤモンドや高級腕時計が入っているとはいえ、2,014万円って……。驚きますね。
国税庁の調べによると、サラリーマンの平均年収は、平成24年で「408万円」。ですから、2,014万円ということは、サラリーマンの平均年収のほぼ5倍にあたります。新生銀行が昨年調べたサラリーマンの平均小遣い額は「3万8,855円」。平均小遣い額と比較すると、「ブクロミクス福袋」は約500倍の価格です。
福袋は景気のバロメーターでもありますから、このような福袋がお目見えし、順調に売れているのであれば、引き続き景気が回復基調にあると受け止めていいかもしれません。景気の先行きが不透明になると、そもそもお金のある人・企業もお金を使わなくなり、経済全体が停滞していきます。高額商品や福袋が売れるということは、明るいニュースであることに変わりません。
さて本題。今回は「福袋」に注目し、「福袋によるマーケティング戦略」について考えてみます。
福袋は経験マーケティング
経験マーケティングとは、製品・サービスに付随する経験そのものをマーケティング対象として設計することです。わかりやすい例は、ビュッフェ(バイキング)スタイルの食事でしょう。たとえ口にする食事の実際量がそれほど多くなくとも、ビュッフェというスタイル自体を楽しむことが消費者の期待価値となります。高級ホテルや一流レストランにとっては、この経験マーケティングが重要な付加価値となります。ですから昨年の「食材偽装問題」は大きな波紋を広げたのです。たとえ芝エビとバナメイエビの味を区別できなくとも、その経験自体にお金を支払っている人が多いからです。
福袋も「経験マーケティング」の考えに適した商材です。福袋を買いに行くまでのドキドキ感、ワクワク感が消費者にとっての付加価値なのです。購入までのプロセス、経験にこそ価値があるので、福袋の中に入っていたものが期待通りでなかったとしても、あまり感情的にならないようにしたいですね。宝くじやギャンブルみたいなもの。まさに射幸心を煽る商材なのですから。
「福袋」は企業側にも大きなメリットをもたらす
私自身も25年以上も前、福袋を作り、販売した経験があります。詳しくは書けませんが、「お金があっても福袋だけは買わない」と、そのときは強く誓いました。それほど当時は「在庫処分」の色合いの強い福袋が多かったように思います。しかし現代では、福袋の中にも素敵な商品が入っていることが多く、魅力的なキャンペーン商品に仕上がっています。とはいえ収益を上げるためには「誰もが欲しがるものばかり」を福袋に入れるわけにはいきません。
企業側のメリットは「在庫処分」と「集客プロモーション」です。在庫処分のみならず、福袋をきっかけに来店したお客様に、他の商品やサービスの販売・宣伝効果も期待します。一石二鳥とは、まさにこのことです。
アップルも福袋「Lucky Bag」を売り出し、毎年話題になっています。企業側としては魅力的な福袋を企画して、毎年来店してもらえるようなリピーターを開拓したいですね。