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ヤマト宅急便「置き配」6月開始 盗難にあったらどうなる?

山口健太ITジャーナリスト
6月から置き配が可能に(ヤマト運輸のプレスリリースより、筆者撮影)

ヤマト運輸は、宅急便を「置き配」で受け取れるサービスを6月10日に開始することを発表しました。

不在時でも受け取れる置き配は便利とはいえ、荷物の盗難や紛失が起きた場合の対応は気になるところです。ヤマト運輸に聞いてみました。

置き配の荷物 盗難にあった場合の対応は?

ヤマト運輸の置き配については、すでに利用したことがあるという人も多いかもしれません。

すでにヤマトは2020年6月から、EC事業者向けに「EAZY」という置き配サービスを提供しており、アマゾンやメルカリなどのオンラインショップでは置き配を利用できるようになっています。

さらに今回発表したのは、こうした特別な仕組みを利用していない一般の宅急便と宅急便コンパクトについても、置き配での受け取りが可能になるというものです。

対象となるのは無料で登録できる「クロネコメンバーズ」の会員で、お届け予定の通知や再配達のタイミングで置き配を指定できるとしています。

アプリや会員向けサイトから置き配の指定が可能に(ヤマト運輸のプレスリリースより)
アプリや会員向けサイトから置き配の指定が可能に(ヤマト運輸のプレスリリースより)

置き配をする場所は、玄関ドア前や車庫、自転車のかごなどを選べるという(ヤマト運輸のプレスリリースより)
置き配をする場所は、玄関ドア前や車庫、自転車のかごなどを選べるという(ヤマト運輸のプレスリリースより)

ヤマト運輸の広報によれば、6月10日のサービス開始以降も、基本は対面での受け渡しという点に変わりはないとのこと。置き配を希望する場合はその都度指定する必要があり、デフォルト設定を置き配にするといった機能はないそうです(追記:ただし宅配ボックスについては「Myカレンダーサービス」で指定可能)。

また、冷蔵や冷凍の「クール宅急便」のように置き配の対象外となる荷物があるほか、オートロックや雨天など、置き配ができないと判断する場合もあるようです。

その上で、一般の宅急便について広く置き配の利用が可能になることで、さまざまなトラブルが起きることはないのでしょうか。

オンラインショップや通信販売の事業者によっては、商品の特性などから、置き配をされては困るといったケースが出てくると考えられます。

その場合、法人契約をしている荷主であればヤマトと事前に調整をすることで、受け取り時に置き配を選べないようにする制御ができるとしています。

一方、個人が送る荷物の場合、送る側が置き配できないよう指定する仕組みはなく、置き配の指定は受け取る側が決められるとのこと。もし置き配をしてほしくない場合は、事前に送る相手に連絡しておいたほうがよさそうです。

そして、置き配といえば必ず話題になるのが、盗難や紛失が起きてしまった場合の扱いがどうなるのかという点でしょう。

置き配を利用した場合、アプリやWebサイトで荷物が置かれた状態の写真を確認することができます。ヤマト運輸の広報は、これをもって配達が完了したものとみなすと説明しています。

荷物が置かれた状態を写真で確認できるという(ヤマト運輸のプレスリリースより)
荷物が置かれた状態を写真で確認できるという(ヤマト運輸のプレスリリースより)

ただ、その後に荷物が盗まれるなどの問題が発生した場合、写真の場所に荷物が存在せず、受け取り人に荷物が届かない状態に陥ることが考えられます。

この場合、置き配の種類によって対応が変わるようです。EC事業者向けのEAZYを利用した置き配の場合、盗難や紛失、破損時には利用したアマゾンやメルカリなどの事業者側に問い合わせる仕組みになっています。

一方、6月10日に始まる一般の宅急便や宅急便コンパクトの置き配については、ヤマト運輸側で個別に相談に応じる対応になるとのこと。その上で、「ヤマト側に落ち度があった場合などは、補償額の範囲内で対応する」(広報)としています。

荷物の補償額は、宅急便の場合で30万円、宅急便コンパクトは3万円(いずれも税込み)となっています。置き配で問題が起きた場合も、この金額が補償の上限になるとのことです。

ただ、利用者にとっては、EAZYの置き配と一般の宅急便の置き配の違いが分からない場合もあると考えられます。問い合わせ先が分からない場合は、いったんヤマトに相談することで詳細を案内してもらう形になりそうです。

置き配の普及 アプリで加速するか

物流「2024年問題」への対策として、政府は再配達率を下げる目標を掲げています。広く利用されるヤマトの宅急便が置き配に対応することで、置き配という概念が日本で一般化することに期待したいところです。

その中で、ヤマト運輸が一般の宅急便にも置き配を導入できた背景を考えていくと、5600万人以上が登録しているという会員制度の存在があります。

この会員向けのアプリやWebサイトがあることで、これから届く荷物の通知を事前に受け取ることが可能になり、そこで置き配を指定するといった意思表示ができるわけです。

会員登録をしておけば荷物が届く前に通知を受け取れる(ヤマト運輸のWebサイトより)
会員登録をしておけば荷物が届く前に通知を受け取れる(ヤマト運輸のWebサイトより)

宅配ボックスのようにすでにあるインフラを活用しつつ、より多様なニーズに対応していくためには、アプリや会員サイトの存在が鍵になりそうです。

追記:
公開当初の記事タイトル「盗難されたらどうなる?」は日本語としておかしいとの指摘をいただいたので、「盗難にあったらどうなる?」に変更しました。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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