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ドコモポイ活プラン「追加料金が必要」に疑問の声

山口健太ITジャーナリスト
ドコモが「ポイ活プラン」を発表(NTTドコモの発表会動画より)

3月21日、NTTドコモがdポイントがたまりやすくなる「ドコモポイ活プラン」を発表しました。

まずはahamoの大容量プランの利用者向けに4月1日から始まりますが、追加のオプション料金がかかる点が話題になっています。本当におトクといえるのでしょうか。

「ポイ活」に追加料金が必要?

4月1日から始まるのは、ahamoで合計100GBのデータ容量を使える「ahamo大盛り」オプション利用者向けの「ポイ活オプション」です。

ahamoポイ活の内訳。「大盛りオプション」利用者なら「ポイ活オプション」を契約できる(ahamoのWebサイトより)
ahamoポイ活の内訳。「大盛りオプション」利用者なら「ポイ活オプション」を契約できる(ahamoのWebサイトより)

ある意味ではオプションのオプションという位置付けになっており、やや分かりにくいものの、大容量のデータを少しでも安く使いたい人に向けた選択肢といえそうです。

ポイ活オプションの月額料金は税込2200円で、メリットとしてはd払いで買い物をすると3%のポイントが追加で還元されます。そこにキャンペーンとして7%分を追加し、合計で10%還元となるのが最大の売りです。月額の還元上限は4000ポイントとなっています。

キャンペーンにより、d払いのポイント還元率は合計10%になるという(ahamoのWebサイトより)
キャンペーンにより、d払いのポイント還元率は合計10%になるという(ahamoのWebサイトより)

ポイ活オプションで還元されるのは、期間・用途限定のdポイントです。以前は携帯料金への充当はできなかったのですが、2024年1月10日からできるようになりました。

携帯料金の支払いにポイントを充当する場合は税抜の料金から引かれます。税抜6500円から4000ポイントを引くと2500円になることから、毎月100GBのデータを実質的に税込2750円で使えるとドコモはアピールしています。

ポイント還元を考慮すると、100GBのデータを実質2750円で使えるという(NTTドコモ提供資料より)
ポイント還元を考慮すると、100GBのデータを実質2750円で使えるという(NTTドコモ提供資料より)

この発表を受けた最初の反応として、SNSには「ポイ活のためになぜ追加料金を払う必要があるのか」という疑問の声が上がっているようです。

有料のプログラムに加入することでポイントなどの特典を得られる仕組みは珍しくないものの、「ポイ活」は節約術として語られることが少なくないため、追加料金の支払いに違和感を覚える人がいたのかもしれません。

この点については、ストレートに「ポイントアップ」とするか、プライムやゴールドといった言葉を入れたほうが伝わりやすかったのではないか、と思うところはあります。

また、仕組みとしてはソフトバンクの料金プランである「ペイトク」に似ています。ahamoは付け外しができるオプションという位置付けで、自由度は高いものの、2200円という追加料金が目立ちやすくなっている感はあります。

「10%還元」はいつまで続くか

ahamoのポイ活オプションが本当におトクなのか考える上で重要なのが、「10%還元キャンペーン」の存在と、大盛りオプションが必須という点です。

10%還元キャンペーンの終了時期は未定となっており、仕様は都度見直し・検討をしていくとドコモは説明しています。まずは8月ごろ、dカードGOLDを設定するとポイントが2%分増える予定です。

毎月の還元額に上限があるため、ヘビーユーザーに大量に使われて終了に追い込まれるといった事態は考えにくいものの、もしキャンペーンが終われば3%還元となり、大幅に魅力が下がることはたしかです。

また、ahamoの20GBの80GBを追加して合計100GBを使える大盛りオプションは必須となっています。大盛りオプションを解約するとポイ活オプションも解約されるため、ポイ活オプションだけを契約することはできない仕組みです。

大盛りの利用者のみを対象とした狙いについて、ドコモ側は「ahamoは若い方に非常に支持されており、大容量のニーズが増えている。QR決済は若年層を中心に利用されていることから、ここを掛け合わせた形で大盛りを必須として設計させていただいた」(NTTドコモ 営業本部 オンラインCX部 ahamo推進室 室長の但川智之氏)と説明しています。

若年層にとって、大容量を使いたいのは当然ですが、かといって携帯料金はなるべく抑えたいのが実情でしょう。ポイ活オプションは一定の条件下で大容量を安く使える選択肢の1つといえそうです。

また、d払いのアプリはQRコード決済の機能を提供するだけでなく、今後ドコモが提供するさまざまな金融サービスの窓口として重要性が高まっています。将来に向けて若年層を囲い込んでいきたい、という思惑も感じられるところです。

ただ、ドコモのユーザーから通信品質について不満を訴える声が続いているのは気がかりです。ahamoはドコモのメインブランドと同じ回線を使っています。すでにドコモ回線を使い慣れている人ならともかく、他キャリアからahamoに乗り換えを考える人にとっては懸念点になりそうです。

今後は、今夏から秋にかけて「eximo ポイ活」の提供が予定されています。ドコモは2024年秋にdカードの新サービスを予告していること、またマネックス証券の子会社化を踏まえて、どのような内容になるか注目したいところです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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