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メルカリで「ビットコイン決済」始まる。ただし税金がかかる場合も

山口健太ITジャーナリスト
メルカリで「ビットコイン決済」開始(メルカリ提供資料より、筆者作成)

2月15日、メルカリがフリマでの買い物時の支払いに「ビットコイン」を使えるサービスを発表しました。同日より、順次展開していく構えです。

メルカリは2023年3月にビットコインの取引が可能になったことが話題になりましたが、いよいよ決済に使えることになります。ただし税金がかかる場合もある点には注意が必要です。

フリマでの支払いにビットコインを使える

メルカリは2023年3月にビットコインを売買できるサービスを開始。10月には口座開設者数が100万人を突破したと発表しています。

メルカリで本人確認を済ませていれば簡単に口座を持てることが特徴で、2023年に暗号資産の取引を始めた人が利用するサービスとして、楽天ウォレットを上回り1位だったとの調査もあります。

そして今回、メルカリで買ったビットコインをフリマで買い物時の支払いに使えるようになったわけです。

2月15日以降、ビットコイン決済が有効になったアカウントでは、商品の購入手続きの画面にビットコインという選択肢が出てきます。

支払い方法としてビットコインを選択できる(メルカリ提供資料より)
支払い方法としてビットコインを選択できる(メルカリ提供資料より)

ただし、ビットコインで決済ができるとはいっても、実際には売却して日本円にした上で支払うという仕組みです。

画面にはビットコインのレートが表示されており、売却後の日本円はメルペイ残高にチャージされる仕組みとなっています。

実際にはビットコインを売却して使用する機能となっている(メルカリ提供資料より)
実際にはビットコインを売却して使用する機能となっている(メルカリ提供資料より)

これまでにも、ビットコインを手動で売却し、メルペイ残高に移してからフリマでの支払いに使うことはできました。今回始まるビットコイン決済とは、この操作を簡単にしたものという印象を受けます。

ただ、購入手続きの画面にビットコインという選択肢が出てくることで、ビットコインで支払うことを思い付く人が確実に増えるように思われます。

一方、メルカリのフリマ出品者にとっては、購入者がビットコインを使うかどうかにかかわらず、売上金は日本円で受け取れることになります。

また返金が発生した際も、購入者は日本円のメルペイ残高として受け取ることになります。出品者がビットコインの存在を意識することはなく、支払い手段の選択肢が増えることで売上につながりやすくなる効果を期待できそうです。

逆に、出品者もビットコインに関心がある場合、ビットコインのまま受け取りたいというニーズも出てくることが考えられます。

この点については、フリマの売上金でビットコインを購入する機能はあるので、日本円を介する形であれば、この体験は実現しているとしています。

その上で、サービスを運営するメルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏は、「シームレスにビットコインで売上金を受け取ることも将来的なサービスの拡張性の1つと考えている」と語っています。

ビットコイン決済について説明するメルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏(メルカリ提供資料より)
ビットコイン決済について説明するメルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏(メルカリ提供資料より)

ビットコイン決済に「税金」がかかる場合も

2023年3月にメルカリがビットコインの取引サービスを始めた後、相場は上昇傾向にあり、2024年2月15日時点では日本円での史上最高値を更新するなど盛り上がりが続いています。

メルカリがビットコイン取引サービスを発表した2023年3月9日から2024年2月15日までの週足チャート(TradingViewのWebサイトより、筆者作成)
メルカリがビットコイン取引サービスを発表した2023年3月9日から2024年2月15日までの週足チャート(TradingViewのWebサイトより、筆者作成)

メルカリでビットコインを購入し、そのまま持ち続けた場合、全員が得をしている計算になりますが、気になるのが税金の存在です。

ビットコインを売却しなければ「含み益」に課税されることはありませんが、決済に使う場合、いったん日本円に売却するため税金がかかる場合が出てきます。

暗号資産の売買ではなく、買い物に使っているのに税金がかかるというのは直感に反する印象はありますが、仕組み上はやむを得ないものといえます。

これまでメルカリのビットコイン取引では、利用者の側で取引履歴から課税対象になるかどうか判断し、必要に応じて確定申告をする必要がありました。

この点は運営側も認識しており、「確定申告を含め、税金周りの処理が必要な方は増えてくると考える。今年はお客様へのサポートや情報整理、機能拡充に力を入れていきたい」(中村氏)との方針を示しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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