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PayPayフリマ→「Yahoo!フリマ」に改名。メルカリに対抗できるか

山口健太ITジャーナリスト
「Yahoo!フリマ」に名称が変わる(ヤフーのWebサイトより、筆者作成)

2023年秋から、ヤフーは「ヤフオク!」と「PayPayフリマ」の名称を変更し、Yahoo!ブランドに統一することを発表しました。

すでに浸透している名前にもかかわらず、なぜ変えるのか、その狙いを探っていきます。

Yahoo!フリマに改名 ヤフオクとの連携強化も

PayPayフリマは、PayPayのサービスと理解している人も多いかと思いますが、実は2019年のサービス開始当初からヤフーが運営しているサービスです。

PayPayブランドを冠した経緯について、ヤフー広報は「当時はPayPayの立ち上げに伴い、ヤフーとは別ブランドでのユーザー拡大を狙いとしていたため」と説明しています。

なお、ヤフーは2021年に商標権を取得するまで、米国企業にブランド使用料を支払っていたこととの関連性を指摘する声もありますが、ヤフー広報は「商標の影響はない」としています。

ある意味、ヤフーが運営するフリマということで本来の名前に戻ることになりますが、ヤフオクについても、2013年に「ヤフオク!」に名称変更したものを、再び「Yahoo!オークション」に戻す形になります。

ブランド変更といえば、2022年10月には「PayPayモール」と「Yahoo!ショッピング」が1つに統合していますが、フリマとオークションについては今後も共存していくという違いがあります。

個人間取引の「CtoC」サービスとして両者は似ているものの、人気のカテゴリは異なっています。また、オークションは「高く売りたい」、フリマは「安くても早く売りたい」など、使われ方も異なるといいます。

PayPayフリマとヤフオクの違い(ヤフーのプレスリリースより)
PayPayフリマとヤフオクの違い(ヤフーのプレスリリースより)

出品者の目線で気になるのは、手数料の違いでしょう。ヤフオクは主に8.8〜10%、PayPayフリマは5%となっており、これは名称変更後も据え置きとなっています。

一方、フリマアプリで国内最大手とされるメルカリの手数料は10%ですが、この程度の違いであれば、月間利用者数2200万人以上のメルカリに出したほうが、より高く、あるいはより早く売れることにメリットを見出す人のほうが多いでしょう。

この点について、PayPayフリマは単に名称を変えるだけでなく、ヤフオクとの連携強化を打ち出しているのは興味深いところです。

これまでヤフオクに出品した商品は、一定の条件を満たした場合にPayPayフリマにも掲載されるという仕組みがありました。

さらに10月以降は、ヤフオクにもPayPayフリマの商品が掲載され、サービスを切り替えることなく購入できるようになるといいます。

つまりPayPayフリマに出すことで、ヤフオクからも買ってもらえる可能性が広がることになります。その場合でも、出品者にかかる手数料はPayPayフリマと同じ5%のままとのことから、損をすることはなさそうです。

ちなみに、WebサイトなどのURL(https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/)には「paypay」の文字が入っていますが、ヤフーによれば現時点で具体的な変更予定はないとのことです。

PayPayと連携したクーポンやポイント還元も引き続き提供していくという(PayPayフリマのアプリ画面より)
PayPayと連携したクーポンやポイント還元も引き続き提供していくという(PayPayフリマのアプリ画面より)

「マネー」でもメルカリに対抗か

メルカリでは、不要品を売って別のモノを買うだけでなく、決済に使ったり、クレカの代金に充当したりと、マネーのやりくりができることが人気を集めています。

ヤフー側も「売上金をスムーズにPayPayにチャージできることが特徴」(広報)としており、今後はこれを強化する方針を示していることから、マネーについてもメルカリとの競争が注目されます。

ブランド間の関係という点では、ショッピングやフリマなどEコマース関連はYahoo!ブランド、金融や決済はPayPayブランドとなり、少し分かりやすくなった印象です。

10月1日に始まる「LINEヤフー」では、いくつもの会社やブランドがひしめきあって渋滞を起こしている感があるものの、徐々に交通整理が進むことに期待しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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