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速すぎるが大丈夫?「19分で100%充電」のスマホ ソフトバンクが発売へ

山口健太ITジャーナリスト
「19分で100%充電」をうたう(ソフトバンク提供資料より、筆者撮影)

12月8日、ソフトバンクが中国Xiaomi(シャオミ)製のスマホ新製品「Xiaomi 12T Pro」を発表しました。

特徴としては、わずか19分で100%に到達するという急速充電性能を挙げています。速さを追求した結果、安全面の心配はないのか両社に聞いてみました。

わずか19分「神ジューデン」性能をアピール

スマホ新製品の「Xiaomi 12T Pro」は、2億画素のカメラやQualcomm製の最上位プロセッサーを搭載するなど、高性能を追求したハイエンドモデルという位置付けです。

コスパの良さで定評のあるXiaomi製品ですが、ソフトバンクによる端末価格は税込14万円台と、なかなかの高価格帯となっています。

Xiaomi 12T Proの主な特徴(Xiaomi Japan提供資料)
Xiaomi 12T Proの主な特徴(Xiaomi Japan提供資料)

その中で、ソフトバンクが前面に押し出しているのが急速充電の性能です。新たに「神ジューデン」というキャッチフレーズもつけられています。

具体的には、5000mAhの大容量バッテリーを、同梱の120W電源アダプターを使うことにより19分で「2%から100%まで」充電できるといいます。

2%から100%まで19分で充電できるという(ソフトバンク提供資料)
2%から100%まで19分で充電できるという(ソフトバンク提供資料)

これはどれくらいの速さなのでしょうか。ソフトバンクによれば、国内で最近発売された6機種のスマホで平均33W、100%までおよそ54分かかるとのことから、2倍以上速い計算になります。

あらゆる場面でスマホが欠かせない昨今、電池持ちは大きな課題といえます。しかし急速充電があれば、いつでも十分な残量がある状態で持ち出しやすくなり、「安心できる」とソフトバンクは強調しています。

この充電の速さをアピールすべく、俳優の吉沢亮さんと杉咲花さんを起用したテレビCMもよくできています。

このCMは、朝起きたときにスマホの充電をし忘れたことに気付くところから始まります。出かけるまでの間に少しでも充電したいというのは、誰もが経験したことのある場面ではないでしょうか。

そこでXiaomi 12T Proの充電を始めると、残量の数字はみるみるうちに増えていき、19分で100%になります。

Xiaomi 12T ProのCM(ソフトバンクのYouTube動画より)
Xiaomi 12T ProのCM(ソフトバンクのYouTube動画より)

ところが、2人とも出かける準備はまだ整っていません。このスマホなら、人間が身支度を終えるよりも早く満充電になる、というわけです。

国内の大手キャリアとしてはソフトバンクが独占で販売。「新トクするサポート」を利用すると、端末を返却するなどの条件を満たすことで約半額で使える仕組みがあります。

ほかにも、Xiaomi JapanはMVNOなどオープンマーケット向け(いわゆるSIMフリー)の展開も発表しています。希望小売価格は税込10万9800円。発売日はソフトバンク版と同じ12月16日です。

急速充電の安全性は?

スマホの充電は速いに越したことはありませんが、過去には事故が起こしたメーカーも存在します。速すぎることに、逆に不安を覚える人もいるのではないでしょうか。

こうした事例を踏まえて、スマホの充電にはさまざまな安全対策を施しているのが一般的です。Xiaomiの場合、42の安全機能、9つの温度センサーを搭載し、過充電や過熱などを保護するといいます。また、バッテリーは24か月の無料交換に応じるとしています。

さまざまな安全機能があるという(Xiaomi Japan提供資料)
さまざまな安全機能があるという(Xiaomi Japan提供資料)

急速充電の安全性について両社はどう考えているのでしょうか。質疑応答で聞いてみました。

Xiaomiからは、東アジア担当ゼネラルマネージャー兼Xiaomi Japan代表取締役のスティーブン・ワン氏が回答。「3年前に中国の国内向けに発売した後、安全面の最適化を続けており心配はない。24か月のバッテリー無料交換も、自信があるからだ。温度が上がった場合には過熱を防ぐなど、成熟したテクノロジーがあるので安心してほしい」と語っています。

ソフトバンクは、「我々としても太鼓判を押すことができた。バッテリーの発熱や膨らみなど、過去のさまざまな経験を踏まえている。Xiaomiと協力して、いろいろなテストを入念に実施している」(常務執行役員の菅野圭吾氏)と自信のほどを語っています。

具体的なパートナーは決まっていないものの、ソフトバンクは来年以降も第2弾、第3弾の「神ジューデン」スマホを展開していく予定とのことです。

Xiaomiのスティーブン・ワン氏(左)とソフトバンクの菅野圭吾氏(右)(ソフトバンク提供写真より)
Xiaomiのスティーブン・ワン氏(左)とソフトバンクの菅野圭吾氏(右)(ソフトバンク提供写真より)

スマホの開発競争はカメラやAIが主軸でしたが、最近は中国メーカーを中心に、急速充電についても性能競争が続いています。

安全性が第一であることは間違いありませんが、充電の速さはユーザーにとってメリットも大きいだけに、差別化ポイントとして注目したいところです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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