これから流行る?「メタバース」で新製品発表会
4月19日、デル・テクノロジーズがノートパソコンの新製品発表会を「メタバース」で開催しました。発表会の様子はどんな感じだったのか、実際に参加してみたのでご紹介します。
参加しやすいWebブラウザー型
メタバースは雑に使われる流行語(バズワード)になっており、「メタバースとはこういうもの」と定義するのは難しい状況ではありますが、自由に動き回れる3D空間をメタバースと呼ぶ事例が増えています。
メタバースによっては参加するのにVRヘッドセットのような機器や、暗号資産のウォレットが必要な場合があり、ハードルは高そうに感じますが、スマホやパソコンから容易にアクセスできるものもあります。先日、NTTドコモが開始した「XR World」もこの方式でした。
デルの発表会はビーライズのシステムを利用したもので、パソコンのChromeブラウザーで参加可能。自分のキャラクター(アバター)は固定で、全員が同じ見た目ですが、アカウント登録は不要で誰でも入れるという簡単なものでした。
発表会自体は動画なので、スクリーンがよく見える位置に移動して視聴しました。他の参加者との位置関係によって見づらいというのはリアルの会場でよくある光景ですが、メタバースなら自由に動けるので問題ありません。
このような動画を見るだけなら3D空間である必要はなく、YouTubeなどで再生したほうがむしろ見やすいといえます。ただ、1つの空間にたくさんの人が集まり、同じ動画を見ていることを実感できるのは3D空間ならではの体験でした。
隣の部屋には新製品を展示した体験コーナーが用意されており、プレゼンテーションが終わると入場が許可されました。これはリアルの発表会を模した演出といえます。
ただ、発表された新製品を3D空間内で体験できるほどには作り込まれておらず、動画などで説明する方式でした。展示機を拡大して表示したり、撮影できたりすると面白いのですが、そこまで作り込むには技術的、コスト的なハードルを感じます。
YouTubeやZoomといった既存ツールも活用
この発表会はメタバース以外に、YouTubeのライブ配信も用意されていました。発表会の目的は「メタバース」ではなく、報道関係者に新製品を取材してもらうことなので、参加できない人が出ないように配慮していた印象です。
また、質疑応答にはZoomを利用していました。質疑応答も3D空間内で実施できれば面白そうではありますが、多くの記者がZoomを使い慣れていることを考えれば、Zoomのほうが確実だろうという判断でしょう。
発表した新製品は、プレミアムラインのモバイルノートPC「XPS 13 Plus」で、新デザインのキーボードやタッチ操作のファンクションキー、シームレスな見た目のタッチパッドなど、先進的な機能を備えています。
発表会をメタバースで実施した理由について、デルはこの先進性を表現したかったと語っています。またグローバルではなく、日本独自の取り組みとのことです。さまざまな分野でメタバースの活用が始まっている中で、今後も似たような発表会が増えるのではないかと予感させる事例になりました。