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スマホで入れる「ドコモのメタバース」 中の様子はどんな感じ?

山口健太ITジャーナリスト
XR World内部の様子(ブラウザ画面より筆者作成)

3月31日、NTTドコモがメタバースの新サービス「XR World」を提供開始しました。バズワードとして話題のメタバースですが、その中身はどうなっているのか、さっそく体験してみました。

メタバースといえばVRゴーグルなどを装着して利用するイメージがあるかもしれませんが、ドコモのXR Worldはパソコンやスマホでも楽しめる「マルチデバイス型」となっており、アプリではなくWebブラウザから誰でもアクセス可能です(将来的にはヘッドマウントディスプレイにも対応予定)。

いまのところアカウント登録は不要で、ユーザー名などはブラウザに保存されるようです。キャラクター(アバター)の操作は、「WASD」キーで前後左右に移動、マウスの左ドラッグで視点移動など、3Dゲームでよくある操作方法を採用しています。

標準のワールドに入った直後の様子。キーボードとマウスで操作できる(ブラウザ画面より筆者作成)
標準のワールドに入った直後の様子。キーボードとマウスで操作できる(ブラウザ画面より筆者作成)

標準のワールド以外に専用ワールドを増やしていける構造になっています。ワールドに接続すると、実際には1つのスペースに所属するようになっており、1つのスペースは最大20人まで収容できるようです。このあたりは処理速度などを考慮していると考えられます。

コミュニケーション機能としては、アバターで拍手やハイタッチができるエモート、近くの人と話せるテキストや音声によるチャット、フレンド登録などが用意されています。音声でチャットをすると、同じスペースにいる他の人にも聞こえるようです。

サービス開始時点で楽しめるコンテンツとしては、藍井エイルさんらが出演する「リスアニ!LIVE 2022」のライブ映像、ガンダムソングを試聴できる専用ワールド「森口博子 GUNDAM SONG COVERS」が用意されており、今後はライブの開催や専用ワールドを増やしていくようです。

ライブ映像の視聴が可能。しっかり見たいときは全画面再生できる(ブラウザ画面より筆者作成)
ライブ映像の視聴が可能。しっかり見たいときは全画面再生できる(ブラウザ画面より筆者作成)

一人称視点でお店のような場所に入ってみた様子(ブラウザ画面より筆者作成)
一人称視点でお店のような場所に入ってみた様子(ブラウザ画面より筆者作成)

いろいろと準備が進んでいるようだ(ブラウザ画面より筆者作成)
いろいろと準備が進んでいるようだ(ブラウザ画面より筆者作成)

システム面では、ドコモが2021年11月に65億円を出資した株式会社HIKKYのVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を使っているとのこと。混雑して入りにくいときもありましたが、基本的な動作はおおむね安定しています。

また、NTTグループは3月31日付でXR分野の新ブランド「NTT XR」を発表しています。XR Worldはこの中に位置付けられており、今後はパートナー企業とオープンな連携を進めていく構えです。

予備知識なしに参加できる3DのWebサイト

最近、メタバースの周辺ではさまざまな言説が飛び交っており、その中でもゲームやコミュニケーションを純粋に楽しみたい人たちと、NFTやブロックチェーンを活用したエコシステムを作りたい人たちの間で興味深い論争が続いています。

その点、現時点でのXR Worldはこうした論争とは無縁であり、予備知識なしに気軽に参加できます。有料コンテンツの利用にはdアカウント連携が必要となっており、暗号資産ではなく一般的な決済手段が使えそうです。

アバターは20種類が用意されているものの、服装や外観を変えることはできません。オリジナルの素材などで自由にカスタマイズできれば面白いのはたしかですが、さまざまな問題が予想されるだけに難しいところです。

アバターは選ぶだけでカスタマイズはできない(ブラウザ画面より筆者作成)
アバターは選ぶだけでカスタマイズはできない(ブラウザ画面より筆者作成)

サービス開始時点ではメタバースというよりも従来からある3DのWebサイトに近いと感じますが、今後のイベントやコンテンツの実装、パートナー企業がどれくらい本気で関わっていくのかに注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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