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西友と楽天「最大2%」還元。ポイントがたまる・使えるスーパーに

山口健太ITジャーナリスト
西友と楽天グループがポイント連携を開始(発表会動画より)

西友と楽天グループが、ポイントやアプリを軸にした新たな協業を発表しました。アプリを活用した最大2%還元など、楽天ポイントが「たまる・使える」スーパーとして注目度が上がりそうです。

両社は2018年に「楽天西友ネットスーパー」を開始。2020年12月には「楽天ペイ(アプリ決済)」を導入していましたが、2022年4月5日に「楽天Edy」、そして4月26日に「楽天ポイントカード」に対応するなど、連携を強化します。

「西友」「リヴィン」「サニー」の実店舗での買い物でポイントが「たまる」のはもちろん、楽天経済圏でたまったポイントを「使える」ようになります。ポイントのために、少し遠い店舗にも足を運ぶ人が増えるかもしれません。

新たなアプリも登場します。これまでの「楽天西友ネットスーパー」を、4月26日には「楽天西友アプリ」にアップデート。ネット注文だけでなく、実店舗での買い物にも便利な機能が集約されるようです。

「楽天西友アプリ」に、オンラインとオフラインの機能を統合するという(楽天グループ提供資料)
「楽天西友アプリ」に、オンラインとオフラインの機能を統合するという(楽天グループ提供資料)

分かりやすいメリットはポイントの二重取りでしょう。会計時には、まず楽天ポイントカードを提示することで0.5%がたまります。その後、支払いにおいて楽天カード(1%)や楽天Edy(0.5%)、楽天ペイ(最大1.5%)を選ぶことでポイントを二重取りできるわけです。

最もポイント還元が大きくなるのは、楽天カードを使って電子マネーの「楽天キャッシュ」にチャージしておき、楽天ペイアプリで支払うというもので、楽天ポイントカードと合わせて最大2%還元となります。

会計時にカードやスマホを取っかえ引っかえするのはやや面倒に感じますが、新たに登場する楽天西友アプリには楽天ポイントカードと楽天ペイの機能が統合されており、このアプリを使えば最も効率良く支払いができるのではないかと期待しています。

また、楽天カードの券面が西友仕様になった「楽天カード 西友デザイン」も発表しました。カード券面はゆうちょ銀行デザインに続き、ナンバーレスの最新仕様となっています。まだ楽天カードを持っていない人は、西友から楽天経済圏に足を踏み入れる機会になりそうです。

「楽天カード 西友デザイン」ではカード番号などを裏面に記載(楽天グループ提供資料)
「楽天カード 西友デザイン」ではカード番号などを裏面に記載(楽天グループ提供資料)

アプリを軸にした進化に期待

アプリの活用は楽天だけでなく、西友にとってもメリットがあるようです。データとして興味深いのが「年齢層」です。西友の実店舗では他のスーパーと同様に顧客の高齢化が進んでいるのに対し、ネットスーパーでは若い世代の利用が多いといいます。

西友は実店舗とネットスーパーで顧客の年齢層が大きく異なる(西友提供資料)
西友は実店舗とネットスーパーで顧客の年齢層が大きく異なる(西友提供資料)

そこで西友は、アプリを活用したマーケティングで顧客層を広げようとしています。高齢者にアプリは難しい場合がある点は認めつつ、「楽天Edy、楽天カード、楽天ペイがあり、幅広いお客様に対応できる」(西友 執行役員 マーケティング本部長の石谷桂子氏)と、支払い手段の豊富さを楽天と組む魅力として挙げています。

今後の方向性について、石谷氏は「購入した製品によって、製品ポイントをつける」「パーソナライズされたOne to Oneマーケティング」「ロイヤルティプログラム」といった構想も語っています。

このように、アプリやデータの活用によってオンラインと実店舗のオフラインを融合する「OMO」は業界トレンドとなっています。まずは4月からのポイント連携に始まり、今後の進化に期待できそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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