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スマートロック「Qrio」に暗証番号やカード対応の新製品。セキュリティは大丈夫?

山口健太ITジャーナリスト
専用のカードをタッチして玄関ドアを開けられる(Qrio提供画像)

11月18日、スマートロックの「Qrio」が新製品を発表しました。ドアの外側に取り付ける「Qrio Pad」では、新たに暗証番号やカードによる解錠に対応し、利便性が高まっています。一方、セキュリティは大丈夫なのでしょうか。

これまでのQrioのスマートロック製品「Qrio Lock」は、玄関ドアの内側に取り付け、スマホなどから指示を送ることで鍵のつまみ(サムターン)を回して解錠する仕組みです。

これに対して新製品の「Qrio Pad」は、玄関ドアの外側に両面テープで貼り付けることで内側のQrio Lockと連携する製品で、新たに「専用カード」や「暗証番号」による解除が可能になります。

ドアの外側に取り付ける「Qrio Pad」。ドア内側の「Qrio Lock」と連携する(Qrio提供画像)
ドアの外側に取り付ける「Qrio Pad」。ドア内側の「Qrio Lock」と連携する(Qrio提供画像)

スマホやカードがない場合は暗証番号による解錠も(Qrio提供画像)
スマホやカードがない場合は暗証番号による解錠も(Qrio提供画像)

専用カードの「Qrio Card」は追加購入もできるため、普段はスマホを持ち歩かない家族に持たせることも想定しているとか。また、スマホやカードを持ち出すのを忘れた場合でも暗証番号を覚えていれば締め出されることはなくなります。

Qrio Lock同様、充電切れを防ぐために予備電池を搭載できる仕組みはQrio Padにも備わっています。万が一のことを考えると、物理的な鍵の持ち歩きが不要になるとはいえないものの、日常的なドアの開け閉めがラクになることは間違いなさそうです。

解錠の手段が増えるとセキュリティは大丈夫か?

こうしたスマートロック製品を導入することで利便性が上がるのは分かりますが、解錠の手段が増えることで気になるのがセキュリティ面の心配です。

まず暗証番号については4〜8桁の数字で、10回連続で誤入力すると5分間は使えなくなる仕様。パッドに付いた指紋や汚れからの推測を防ぐためにランダム入力を求める機能も用意されています。入力時にはサイドから見えにくいよう考慮したとのことです。

専用カードについて、Qrio PadにはFeliCaやNFCで使われるマークが付いているものの、一般的なICカードなどを鍵として使うことはセキュリティ上の懸念からできなくしたと説明しています。

興味深いのが「オートロック」機能です。Qrio Lockにはドアの開閉を検知すると自動的に施錠する機能があるものの、ユーザーからは「締め出しを恐れて、オートロック機能を有効にしにくいとの声があった」(Qrio 取締役 執行役員副社長の高橋諒氏)といいます。

しかしQrio Padを取り付けることで暗証番号でも解錠できるようになれば、締め出される恐れはなくなります。オートロック機能を有効にしやすくなれば、むしろセキュリティは高まるともいえるわけです。導入にあたってはこの点も併せて検討するとよいでしょう。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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