11月8日、ソフトバンクグループ(SBG)が2021年第2四半期(7-9月期)決算を発表。中国テック規制の影響を中心とした投資先の株価暴落に見舞われる中、決算説明会では過去よりも未来に目を向けさせる孫正義社長の話術が冴え渡っていました。

5月に発表した2021年3月期決算では純利益「5兆円」を誇っていたSBGですが、続く上半期(2021年4〜9月期)の純利益は3636億円に急減。会計上は黒字とはいえ、SBGが保有する株式の時価総額である時価純資産(NAV)は9月末までの3ヶ月で「6兆円」を失っており、「実質的には大赤字」(孫社長)といいます。

時価純資産は3ヶ月で27兆円から20.9兆円に(ソフトバンクグループ決算説明会より)
時価純資産は3ヶ月で27兆円から20.9兆円に(ソフトバンクグループ決算説明会より)

大きな要因は中国におけるテック企業への規制強化です。7-9月期はアリババグループを始めとする中国テック企業の株価が軒並み暴落、特に9月末はどん底の時期でした。この点は前回の決算説明会でも触れられており、ある程度は想定の範囲内といえるでしょう。

同期間における全世界の株価指数はほぼ横ばいで推移したのに対し、SBGが約20%強の含み益を失っているのは投資家にとって残念な結果といえます。その半面、中国企業への依存度は下がっており、SBGが保有する資産の中でアリババ株が占める割合は1年前の59%から28%に下がっています。

1年前と比較してアリババ株が占める割合が低下した(ソフトバンクグループ決算説明会より)
1年前と比較してアリババ株が占める割合が低下した(ソフトバンクグループ決算説明会より)

これに対して、AIを活用するベンチャー企業に投資するビジョンファンド(SVF)が占める割合は16%から44%に上昇。アリババ株に依存している印象は薄まり、孫社長が注力するビジョンファンドの割合が最も高くなりました。投資先の地域も米国、中国以外に広がっています。

その中で関心を集めたのが、これまで孫社長が消極的だった日本企業への投資です。第1号となったバイオベンチャー「アキュリスファーマ」に続き、第2号となる企業も投資の手続きに入ったといいます。日本でもSVF資本のAIスタートアップが続々と生まれることに期待したいところです。

なお、プレゼンテーション資料の末尾には説明会で使われなかった補足資料があり、10月20日に上場したロボット倉庫「AutoStore」が投資額の2.2倍になったことなど、10-12月期の最新情報が記載されています。

過去よりも未来に目を向けさせる展開に

決算説明会の冒頭では「6兆円の含み益喪失」で現実を突きつけた孫社長ですが、その後は独特の話術で投資家の目を未来に向けさせます。さらに、15時の決算発表時にはなかった「1兆円を上限とする自社株買い」をライブ中に発表するサプライズにより、大きく流れは変わりました。翌9日朝、SBGの株価は約10%急騰しています。

真冬の嵐の中でじっと耐える青い芽があるという(ソフトバンクグループ決算説明会より)
真冬の嵐の中でじっと耐える青い芽があるという(ソフトバンクグループ決算説明会より)

SBGを襲う「真冬の嵐」の中、「新しい芽」として紹介したのがArmとPayPayです。NVIDIAに約4兆円で売却するはずだったArmについては、あくまで今後の許認可次第としつつも、現在の株価で計算すると約9兆円になっているとのこと。NVIDIAはメタバースへの期待で株価が急上昇しており、うまく行けばSBGに追加で5兆円が転がり込む可能性があるといいます。

さらにPayPay上場についても触れています。大赤字が続いているとの印象が強いPayPayですが、孫社長によれば「粗利ベースではすでに黒字」。そしてこれほど多くダウンロードされている決済アプリはなかなかないとも評価しています。黒字化や上場まで、少なくとも数年はかかるとみられますが、4300万ユーザーのPayPayが持っている潜在的な力も投資家の興味を惹き付ける要素になりそうです。