Facebookが社名を「Meta」に変更。仮想空間である「メタバース」事業に本格的に取り組む姿勢を示しました。マーク・ザッカーバーグCEOが語ったビジョンはまさに次世代のSNSと呼べるものです。

基調講演のメッセージを要約すると、「PCやスマホの画面内の存在だったインターネットが、物理的な制約のないメタバースに進化して現実と融合する。我々はそのプラットフォームを提供する企業になる」というものです。

なぜFacebookはメタバースに熱心なのか、その背景として「若者のFacebook離れ」が指摘されています。同社が買収したInstagram(インスタ)は若者に受けているものの、Facebookを使っているのは中高年ばかり。若者にとっても、自分の親や学校の先生が使っているSNSで遊びたくはないでしょう。

その代わりとして盛り上がっているのがフォートナイトやロブロックス、マインクラフトといったゲーム内のコミュニティです。本来は複数人でゲームを遊ぶために用意されていたフレンド機能やチャット機能が、いつしかSNSとして機能するようになりました。

ゲーム内では自分の分身となるキャラクター(アバター)の見た目を自由に変えられます。若者が直面している悩みとして、インスタで幅を利かせる外見至上主義や、ネットで可視化される親の経済力や居住地域による格差があります。でも仮想空間ならそんなものは超越できるというわけです。

メタバースでは外見を自由に変えられることを示した(Connect 2021基調講演より)
メタバースでは外見を自由に変えられることを示した(Connect 2021基調講演より)

こうしてゲーム内でコミュニティを形成した世代が、あと5年もすれば社会に出てくることになります。もしそこで「仮想空間内のオフィスに出勤し、アバターのまま働ける仕事」があったとしたら、彼らを魅了することは間違いありません。

自宅にいても、他の人からはオフィスの席に座っているように見えるという(Connect 2021基調講演より)
自宅にいても、他の人からはオフィスの席に座っているように見えるという(Connect 2021基調講演より)

コロナ禍でリモートワークが広まり、新しい働き方を支持する人が増えていることも追い風になりそうです。その先には次世代のSNS、次世代のインターネットの姿が見えてきます。そのプラットフォームを提供する企業が、次の覇権を握ることになるでしょう。

「メタバース=VRヘッドセット」ではない?

メタバースに大きな可能性があることは分かりましたが、とはいえVRヘッドセットを装着させられるのは勘弁してほしいという人も多いのではないでしょうか。

この点について、必ずしも「メタバース=VRヘッドセット」ではなさそうです。当面はPCやスマホを使ってアクセスできる手段も用意し、最終的には「普通のメガネ」にAR機能を統合するという段階的な構想を示しています。

また、VRヘッドセットの人気モデル「Oculus Quest」は「Meta Quest」に名称を変更し、Facebookアカウントも不要になるそうです。これはFacebookの次を目指すMetaとして、妥当な変更といえるでしょう。

Metaの正式な社名である「Meta Platforms Inc.」からは、メタバースを自社で独占するのではなく、他社を巻き込んだプラットフォームを作りたいとの姿勢が伝わってきます。株のティッカーシンボルもFBからMVRSに変更。これは投資家に向けて本気度を示すことになりそうです。