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【Yahoo!ニュース 個人】10月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、10月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、Yahoo!ニュース 公式コメンテーターによるニュースへの理解が深まるコメントとして「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と2本のコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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10月のMVA

法廷で弁護人のPC用電源は使用禁止?!裁判所の仰天判断をどう見るべきか(江川紹子)

筆者による受賞コメント:高野弁護士のブログ記事を読んで事態を知り、大変驚きました。公判前整理手続も、刑事裁判手続の一部で、その大事な役割を担っている弁護士が使っているパソコンの電源を使わせない、という裁判所の対応は、私の感覚では、ありえないと思いました。念のため、高野弁護士以外の専門家の意見を聞くつもりが、いろいろな方が話をしてくださり、実に楽しい取材でした。受賞は望外のことで、これまた驚いています。ありがとうございました。(江川紹子

選出理由:弁護人は「国の電気」を使ってはならない―――。驚きの命令が裁判長から下されたことについて、命令を受けた弁護士を始め、多くの法曹関係者に取材を敢行、この判断の問題点を浮き彫りにした記事です。命令を受けた高野隆弁護士がブログで取り上げるとすぐに話題になりました。本人への取材だけでなく、元裁判官などの法曹関係者に幅広く話を聞き、すぐに世に問いかけた記事は、長年司法取材をしてきたジャーナリストだからこその素晴らしい内容です。

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ノーベル物理学賞受賞!真鍋さんが開拓した「気候モデル」は何がすごいのか?今こそ基本的な疑問に答えます(江守正多)

筆者による受賞コメント:この記事は、ただただ真鍋さんの素晴らしさと気候モデルの科学的な意義について読者に伝えたい気持ちで書きました。真鍋さんのノーベル物理学賞受賞は、気候科学という研究分野にとっても、気候変動問題に取り組む人々にとっても、僕個人にとっても、幾重にも嬉しいものになりました。真鍋さんにこの記事をお知らせしたところ以下のお返事を頂き、その嬉しさはさらに跳ね上がりました。" Emori-San, Thank you very much for mailing me your on-line commentary, which explains climate model so beautifully! Suki Manabe”(江守正多

選出理由:今年のノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんが開拓した「気候モデル」は何がすごいのか。同じ分野を研究する筆者ならではの視点から、真鍋さんとの親交のエピソードも交えながら、Q&A形式でわかりやすく解説した1本です。記事の末尾にもあるように、気候モデル研究は「物理学」とよぶにふさわしい科学的営為であることがひしひしと伝わってきます。

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ダイソンのドライヤー盗難に悩むホテル-本当はやりたくないんですが・・・(瀧澤信秋)

筆者による受賞コメント:月間MVAに選出いただきましたことこの上ない光栄に存じます。ホテルはイメージを大切にするビジネスだけに、ネガティブな情報発信はとかく忌避されます。一方、現場取材を重視する中、ホテルスタッフとの気の置けないシーンにおいて、何気ない会話等から本音が吐露されることも多々あります。今回もまさにそのような形で得たテーマとなりました。ホテルガイドのようなポジティブな情報を積極的に発信しつつ、ホテルが発信出来ないネガティブなテーマも提起していくことは、ホテル評論家・ジャーナリストとしての使命と自覚し今後も精力的に取材・執筆していく所存です。(瀧澤信秋

選出理由:少なからぬホテル事業者を悩ませる「備品の盗難」という課題。備品の高級化が進み、その影響も大きくなりつつある最中、人気の高級ドライヤーという具体的なアイテムにフィーチャーすることで、あらためてその課題を浮かび上がらせました。抜かりない現場取材で対応に苦慮するホテル側の実情も描き出し、ホテルという場所に似つかわしくないこの問題の根深さを伝えています。

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「とにかく怖かった」。今だからこそ蝶野正洋が明かすビンタの重圧(中西正男)

筆者による受賞コメント:ビンタへの思い。番組への思い。人を殴ることの怖さ。そこから得たもの。今後への思い。原稿として体裁を整えるためにバランスを考えて文字化しましたが、分量として、そして熱量としても最も出力高く話してらっしゃったのが「絶対に暴力はダメ」という主張でした。それだけ人の体のもろさを知っている。壊れたものは戻らない。心底、それを知っている人だからこその説得力でした。さまざまな価値観がガラガラと音を立てて変わっている昨今。“痛みを伴う笑い”の最たるものである蝶野さんのビンタは、ことさら強く逆風にさらされるものなのかもしれません。だからこそ引き立つプロとしての思い。プロの重み。プロの凄み。プロの落ち着き。それを痛感した取材でもありました。プロのプロたる所以。そこを広く、深く、これからも綴っていこうと思います。(中西正男

選出理由:プロレスラーの蝶野正洋さんが、大みそかの人気番組「絶対に笑ってはいけないシリーズ」について語った記事です。放送休止が決まった同番組では、蝶野さんが月亭方正さんに強烈なビンタを見せるのが恒例でした。しかし、人前で顔面を張ることに蝶野さんは大きな葛藤を抱えていたそうです。筆者はその胸の内を丁寧にひもといていき、プロの仕事としてビンタをやり続けた思いに迫りました。

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上階からの騒音トラブルについての「大きな誤解」、お子さんのいる家庭はご確認を!(橋本典久)

筆者による受賞コメント:オーサーになりたての時の記事でしたが、閲覧数がいきなり10万件近くになったのには正直驚きました。Yahooニュースの社会的影響の大きさを改めて認識させられた記事でした。今日も上階からの騒音に悩む女性から相談がありましたが、個別の対応は勿論大事ですが、社会的な情報提供の重要性も感じています。少しでも騒音問題解決の役に立つよう、タイムリーで役に立つテーマについて今後も執筆してゆきたいと思います。有難うございました。(橋本典久

選出理由:下の階の人に足音が響いたら迷惑だから騒音対策にマットや絨毯を敷こう。当たり前にやってきた対策が実は無意味であることをわかりやすく解説した記事です。テレワークの推奨や外出自粛などで家にいる時間が増えたからこそ多くのユーザーが知っておきたい日常の課題解決に寄与する、騒音問題の研究者らしい発信でした。対策しているのになぜトラブルに発展するのかまで述べ、ユーザーへの配慮が行き届いた内容になっています。

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10月のMVC

『「うる星やつら」高橋留美子氏、手塚治虫さんに続き米ハーベイ賞殿堂入り(日刊スポーツ)』の記事へのコメント(倉田雅弘)

筆者による受賞コメント:この度は月間MVCに選出していただき、ありがとうございました。日本ほど漫画やアニメが社会的に認知され、楽しまれている国は、おそらく他にありません。しかし普段から慣れ親しんでいるが故に、その文化的な面や、現在の地位を築き上げた先人たちの偉業を意識する機会は近年少なくなっているように感じます。これからもひとりの漫画・アニメ好きとして、コメントを通じて、有意義な情報を提供できるよう努力していきたいと思います。(倉田雅弘

選出理由:漫画家の高橋留美子さんが米国の漫画賞「ハーベイ賞」で殿堂入りを果たしたことを報じる記事へのコメントです。高橋さんの生み出したキャラクター造形がいかに画期的だったかーー。彼女の師匠にあたる小池一夫さんを取材した際に聞き出した、貴重な「高橋留美子評」を引用しつつ解説。また現在の漫画界への影響やコスプレ文化との繋がりについても言及しており、高橋さんの功績を多角的に伝えるコメントです。

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『岸田首相、産油国に増産働き掛けへ 原油高騰で対策指示(時事通信)』の記事へのコメント(渡辺浩志)

筆者による受賞コメント:MVCに選んでいただき、まことにありがとうございます。世界的な資源価格の上昇で、日本の家計にとってこれまで無縁だったインフレが切実な問題になってきています。賃金が上がらないなかで相次ぐ生活物資の値上げは、消費者心理の悪化や内閣支持率の低下にも直結します。岸田政権の政策はピントのズレが指摘されるところ。引き続き、世界で起こっていることを日本人の日常生活に落とし込んで考えていきたいと思います。(渡辺浩志

選出理由:原油価格の高騰を受け、産油国に増産を働きかけるよう岸田首相が指示したことを伝える記事へのコメントです。原油高に見舞われた世界経済の状況を分析しながら、消費者が直面する生活への影響をわかりやすく解説。日本政府による過去の対策や海外の動向を丁寧に紐解き、今後とるべき対応措置についても論じています。複雑な経済問題を"自分ごと"として捉え直すことができる内容となっています。

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