1970年神奈川県生まれ。1997年に東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程にて博士号(学術)を取得後、国立環境研究所に勤務。2022年より東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(総合文化研究科 客員教授)/国立環境研究所 地球システム領域 上級主席研究員(社会対話・協働推進室長)。専門は気候科学。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次および第6次評価報告書 主執筆者。著書に「異常気象と人類の選択」「地球温暖化の予測は『正しい』か?」、共著書に「地球温暖化はどれくらい『怖い』か?」「温暖化論のホンネ」等。記事やコメントは個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
記事一覧
- 「グリーン成長」の次のパラダイムは何か?
斎藤幸平さんの「人新世の『資本論』」が読まれている。その背景にある「脱成長」の議論が日本ではほとんど知られていないので、筆者なりの理解をまとめた。少なくとも「グリーン成長」には批判的な検討が必要だ。
- ノーベル物理学賞受賞!真鍋さんが開拓した「気候モデル」は何がすごいのか?今こそ基本的な疑問に答えます
ノーベル物理学賞を受賞された真鍋叔郎さんが開拓した「気候モデル」研究は何がすごいのかを、いくつかの疑問に答えながらご説明します。実は気候モデルには気象観測データを一切与えなくてよいのです。
- 日本の気候変動対策に欠けているもの ―我々は若者の声に学べるか
2050年の脱炭素化を目指す日本だが、「気候正義」などの倫理的な議論が欠けている。これでは欧米から底の浅さを見透かされるのではないか。政府の審議会で気候正義の重要性を指摘した若者の主張を基に考える。
- 「環境に配慮した商品ですか」と店員に尋ねることを、それでも僕が支持する理由
トラウデン直美さんの環境問題に関する発言がネットで批判を浴びた。雑なコメントで燃料投下してしまった筆者が、トラウデン発言の持つ意味をあらためて述べる。
- なぜ日本人は気候変動問題に無関心なのか?
日本で気候変動問題への関心が低いことについて、筆者のコミュニケーションの経験に基づきその原因についての仮説を提示し、対応方法についての考えを述べる。(「環境情報科学」より転載)
- 豪雨は温暖化のせいか?せいではないか?問題(豪雨報道を検証する)
日本各地に被害をもたらしている梅雨前線の豪雨について、多くの報道が地球温暖化との関係に触れている。一方で、そのような関係は根拠がないという解説者もいる。豪雨報道が科学的に妥当といえるか検証した。
- 石炭火力からの卒業がやっぱり日本でも合理的である5つの理由
経産省が旧式の石炭火力の大部分を2030年までに休廃止するなどの方針を打ち出している。この機会に、日本も遠からず石炭火力を卒業するのが合理的であると考える理由を大局的な観点から5つ述べたい。
- 組織的な温暖化懐疑論・否定論にご用心
NPO法人「国際環境経済研究所」のウェブサイトに、英国の地球温暖化懐疑論機関と思われるGWPFの記事が系統的に紹介されていた。懐疑論を紹介することのリスクを、見る側にも見せる側にもよく理解してほしい。
- 国連 気候変動スピーチで注目のグレタ・トゥーンベリさんについて知ってほしい5つのこと
グレタさんについて知ってほしいこと。1.本人の意思で行動、2.「ふつう」と少し違う、3.科学者の声を聞くことを求めている、4.我慢や不便を強いていない、5.大人を憎んではいない(たぶん、まだ)。
- 【気候変動】パリ協定に基づく日本の成長戦略の「本気度」
政府は、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の案を発表した。日本が気候変動問題に長期的にどう対応し、それをどう成長につなげるかという戦略が決まろうとしている。その内容と本気度を吟味する。
- [気候変動] 抗議する若者たちの懸念は正当である:世界の科学者が支持声明を発表
気候変動対策を求める若者が世界で立ち上がっていることに対し、国際的な科学者グループが支持声明を発表し、署名が続々と集まっている。Science誌に掲載された声明全文の和訳と筆者の考えを紹介する。
- 15歳の少女に叱られて考えた―2019年、気候変動問題に「希望」はあるのか?
昨年、世界で数千人の子供たちが政府に気候変動対策を求めるデモを行った。その流れを引き起こした少女は「希望」よりも「行動」が必要と訴える。「希望」にすがる時代は終わったか?2018年を振り返って考えた。
- 地球温暖化対策 なぜ1.5℃未満を目指すのか -IPCC特別報告書を読む
先ごろ発表されたIPCC特別報告書によれば、地球温暖化を1.5℃未満に抑えるためには、2050年前後に世界のCO2排出量を正味ゼロまで減らす必要がある。この結論を我々はどう受け止めたらよいのか。
- 「太陽光発電、10年で投資回収は大ウソ」記事への、すごい違和感(9/27午後 追記あり)
ダイヤモンド・オンラインに掲載された住宅用太陽光発電をめぐる記事で、採算性の試算方法が物議を醸している。追記:本稿発表以降、問題となっていた記事には訂正と取り下げ予告が発表された。
- 地球温暖化はもう手遅れか?(はたまたミニ氷河期到来か)
人類がCO2排出を減らしたとしても、地球が4~5℃高温の状態(ホットハウス・アース)へ移行するスイッチが入ってしまう可能性を示唆する論文が発表された。この破滅的な予言をどう受け止めたらよいだろうか。
- 豪雨も猛暑も、地球温暖化が進む限り増え続けるという現実に目を向けよう(続編:ではどうすればよいか)
地球温暖化が進む限り豪雨も猛暑も増え続けることに目を向けると、一つには防災のあり方を捉え直す必要がある。もう一つには地球温暖化を止めるための「脱炭素」の必要性を、切実な問題として理解すべきだ。
- 豪雨も猛暑も、地球温暖化が進む限り増え続けるという現実に目を向けよう
西日本を襲った豪雨と引き続く猛暑を、今一度、地球温暖化について基本的なことを理解するきっかけにしてほしい。地球温暖化の主な原因は人間活動であり、地球温暖化が続く限り豪雨も猛暑も増えることは明らかだ。
- 今の人類が大寒冷期とニアミスしていたことを知ってましたか? そして次の寒冷期の到来は?
2016年にNatureに発表された論文によれば、現在は氷期が訪れていておかしくないタイミングだが、大気中のCO2濃度がわずかに高かったおかげで、氷期の開始はぎりぎり回避された。では、次の氷期は?
- 米国の気候変動懐疑派は陰謀論や保守主義と結びつきが強いという研究結果―日本は?
米国の気候変動懐疑派は、陰謀論、右派、保守派、個人主義、階級主義と相関が高いという研究結果が発表された。他国との比較で、この傾向は米国が突出している。いくつかの相関は、日本でもある程度みられた。
- 映画「不都合な真実2」公開によせて アル・ゴアと世界の気候変動政策の20年の歩みと新たな希望
映画『不都合な真実2:放置された地球』が11月17日、日本で公開される。元米国副大統領アル・ゴアが気候変動問題に取り組む姿を描いた映画の続編だ。ここに描かれている20年を振り返り、未来を展望する。
- 小池百合子氏の環境政策を契機に考えたい 原発ゼロで排出ゼロは目指せるか?
小池百合子都知事が代表を務める「希望の党」は、2030年までの原発ゼロとCO2の排出ゼロを目指すという。2つの政策は両立するのか。今回の衆議院議員総選挙で、気候変動問題に関して考えるべきこと。
- 南北両半球で海氷面積の減少がすごいことになっている件
北極海と南極の周りを合わせた今年の海氷面積が9月以降に例年の季節変化を大幅に下回ることを示すショッキングなグラフが話題になっている。グラフの出どころはどこで、グラフは何を意味するのだろうか。
- 温暖化「2℃目標」の生みの親 シェルンフーバー博士に聞く ― 脱炭素化に向けたわれわれの役割は何か?
メルケル独首相の科学アドバイザーを長年務め、温暖化「パリ協定」の長期目標の生みの親とされる独ポツダム気候影響研究所のシェルンフーバー所長に話をうかがった。CO2排出ゼロの世界に向けた我々の役割とは?
- 大気中CO2濃度が去年は飛躍的に増加 世界のCO2排出量は横ばいなのに、なぜ?
2015年は大気中CO2濃度が急増したが、世界の人間活動によるCO2排出量は横ばいであった。これは主にエルニーニョによるCO2収支の変動であり、人間活動が大気中CO2を増加させていることと矛盾しない。
- 温暖化対策計画 2050年80%削減は可能? 「分煙革命」を参考に考える「脱炭素革命」の意味
政府の温暖化対策計画の案がまとまり、2050年に日本の温室効果ガス排出量を80%削減する目標が明記された。社会の大転換の実例としての「分煙革命」を手掛かりにして、「脱炭素革命」の意味を考えてみたい。