Yahoo!ニュース

ワーキングメモリの心理学:頭がゴチャゴチャになるのはなぜ?子供が言うことを聞かないのはなぜ?

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真:イメージマート)

<子供が言うことを聞かず反発するのは、悪い子だからではなく、ワーキングメモリが不足しているかもしれない>

■記憶とワーキングメモリ

私たちが生活できるのは、記憶があるからです。自分が誰で相手が誰かを忘れてしまったら、仕事も遊びも恋もできません。

記憶の中には、長く覚えている長期記憶と、短い間だけ記憶している短期記憶があります。何十年とずっと覚えていて、この先もずっと忘れない大切な長期記憶もあるでしょう。

一方で、すぐに忘れてしまう記憶もあります。すぐに忘れてしまうような記憶は、どうでも良いことでしょうか。しかし、例えばこの文章を読んでいて、2行前の文章の内容を忘れてしまうとしたら、文章を読んで理解する事はできません。

今日の何気ない会話を何年も覚えているわけではありませんが、2秒前の会話を忘れてしまうとしたら、会話になりません。

このように、会話をしたり文章を読んだりするなどある作業をするときに必要な短い記憶をワーキングメモリといいます。運転をしながらカーナビを見ながら、助手席の人と会話をしたりもします。このような複数の作業を同時に行うのも、ワーキングメモリーの働きです。

以前の心理学では,記憶を短期記憶と長期記憶に分けて考えてきましたが、近年の心理学では、ワーキングメモリの概念を使うようになっています。ワーキングメモリの考え方を使って、様々な心の問題についての研究が行われています。

このワーキングメモリーは、無限にどこまでも働くわけではありません。人により状況により、上限なあります。例えてみれば、パソコンのメモリです。メモリがたくさんあれば、いちどにたくさんのアプリケーションソフトを立ち上げて、同時に動かすことができます。

この記事は有料です。
心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法のバックナンバーをお申し込みください。

心理学であなたをアシスト!:人間関係がもっと良くなるすてきな方法のバックナンバー 2023年3月

税込550(記事3本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

碓井真史の最近の記事