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もう師走なので選んでみました、今年の「つい笑ってしまったCM」ベスト3!

碓井広義メディア文化評論家
戸越銀座商店街のマスコットキャラクター「ぎんちゃん」(筆者撮影)

思えば、もう師走です。

今年、見ながら「つい笑ってしまった」あのCM、このCM。

その「ベスト3」を選んでみました。

「時効警察」コンビ再現に拍手!

「濃いして大阪」篇(マクドナルドのサイトより)
「濃いして大阪」篇(マクドナルドのサイトより)

1本目は、マクドナルドのCM、大人のご当地てりやき「濃いして大阪」篇です。

街道脇に駐車した大型トラック。運転席にオダギリジョーさん、助手席には麻生久美子さんがいます。

2人が手にしているのは新しいハンバーガーです。

いや、もうこれだけで笑ってしまう。そして嬉しくなる。

2人が出演した『時効警察』シリーズ(テレビ朝日系)を連想するからです。

主人公は、すでに時効となっている未解決事件の真相を探るのが「趣味」だという警察官、霧山修一朗(オダギリさん)。

捜査の女房役が、同じ総武警察署時効管理課の三日月しずか(麻生さん)でした。

CMでは、「変わったわね、あんた」と麻生さん。

「こんなてりやきじゃなかったのに」と言いつつ、ちょっと色っぽい目でオダギリさんを見つめます。

ナレーションが「変わったのは大阪お好み焼き風ソースたまごてりやき」と説明。

オダギリさんの「そんなお前に、てりやいてるぜ。」という心の声を、テロップが代弁します。「てりやいてる」って何じゃ?

トラッカーのオダギリさんが、潜入捜査のための変装に見えてくる、1本で2度おいしいCMでした。

自分の「弱点」を武器にする

「キタムラ新たな旅立ち」篇(キタムラのサイトより)
「キタムラ新たな旅立ち」篇(キタムラのサイトより)

カメラのキタムラのCMといえば、2017年から出演している安田顕さん。

リユース「キタムラ新たな旅立ち」篇では、伊藤沙莉さんと共演しています。

田舎道のバス停。乗車する人影。走り出したボンネットバスを追いかける2人。

突然、安田さんが呼びかけます。

「キタムラ!お前、販売だけじゃなく買取も始めたらしいな!」

どうやらカメラだけでなく、時計やブランド品も買取の対象となるらしい。

伊藤さんも走りながら訴えます。

「キタムラ君、カメラの印象が強いから、ブランドのキタムラとか、時計のキタムラとか、ちゃんと言わないと伝わらないからね~!」

つまづいて倒れ込む安田さん。気遣う伊藤さん。そして2人が声をそろえて叫ぶ。

「キタムラ、頑張れ~!」

カメラについては実績がありますが、それ以外の買取については、まだ認知度が低いキタムラ。

このCMは、自らの弱点である、新規参入というハンデを武器にしているのです。

安田さんと伊藤さんが熱演するほど、見る側はつい笑ってしまう。

また笑えるからこそ印象に残る、何とも心憎い演出でした。

彼女が「忘れられないもの」って?

「忘れられない男」篇(大阪王将のサイトより)
「忘れられない男」篇(大阪王将のサイトより)

香里奈さんが、イートアンドフーズ「大阪王将」ブランドのイメージキャラクターを務めて3年目になります。

これまでに、友人たちとの中華パーティーで小籠包を熱く語ったり、刑事に扮して立てこもり犯に呼びかけたりと、コミカルな演技を披露してきました。

今年は、シリーズCM「忘れられない男」篇です。

前作の「羽根つき餃子」では、男から「餃子焼いたから羽根だけ食べて。餃子は俺が食べる」と言われた香里奈さん。

「あんなしょうもない男にフラれるなんて」と洗面台の前で憤っていました。

そして、新作の「ぷるもち水餃子」。香里奈さんは、空っぽのバスタブに膝を抱えて座っています。

今度は男から「大阪王将のぷるもち水餃子は日本で売り上げ1位でしょうか?」と当たり前のことをクイズに出されて、がっかり。

さらに「あんなしょうもない男が忘れられないなんて」と悔しがります。

確かに、この男は困りものです。

しかし、こんなしょうもない男にフラれて、しかも忘れられない香里奈さんが、すこぶるいじらしい。

“忘れられない味“は、餃子だけではありません。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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