今月初旬まで開幕スタメンが有力だった三塁手が解雇へ。調停で確定の年俸も約6分の1しかもらえず
今月に入るまで、J.D.デービス(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は、三塁手の筆頭候補だった。けれども、状況は一転した。今月初旬、ジャイアンツは、FA市場に出ていたマット・チャップマンと3年5400万ドルの契約を交わした。これにより、デービスは、身も蓋もない言い方をすれば、余剰人員となった。
その動きについては、こちらで書いた。
◆「ジャイアンツと契約の三塁手は大学時代のチームメイトからポジションを奪う格好に。誕生日は1日違い」
◆「大物の加入でポジションを失った選手は、大物がそれまで在籍していた球団へ移る!?」
もうすぐ、デービスは、ジャイアンツに解雇される。MLB.comのマリア・ガーダッドらによると、ジャイアンツは、アウトライト・ウェーバーにデービスをかけたが、獲得の名乗りを上げる球団は現れず、続いて、リリース・ウェーバーにかけたという。
他球団から獲得されずに公示期間が終わると、前者のアウトライト・ウェーバーの場合、球団はその選手をマイナーリーグに降格させることができる。サービス・タイムが5年以上の選手は、降格を拒否して退団することも可能だ。デービスのサービス・タイムは5年を超えている。後者のリリース・ウェーバーは、文字どおり、公示期間の終了後に解雇(リリース)となる。
通常、選手を解雇した球団には、交わしていた契約の支払いがそのまま残る。ただ、デービスがジャイアンツからもらえるのは、その約6分の1に過ぎない。
今オフ、デービスは、年俸調停を申請した。デービスの要求額は690万ドル、ジャイアンツの提示額は655万ドルだ。調停の結果、デービスの金額が通った。ここでデービスを解雇すると、ジャイアンツの支払いは、満額の690万ドルではなく、30日分の約110万ドルとなる。調停によって確定した年俸に対する、このルールは、前の労使協定にはなかった。
ジャイアンツに解雇された後、デービスは、どこかの球団に迎え入れられるだろう。いくつかの球団は三塁手が確定しておらず、デービスは、レフトと一塁も守ることができる。過去2シーズンは、2022年が115試合で12本塁打と出塁率.340、2023年は144試合で18本塁打と出塁率.325ながら、2019年は140試合で22本塁打と出塁率.369を記録している。また、出場75試合未満の2020年と2021年は、どちらの出塁率も.370を超えていた。
もっとも、ジャイアンツからもらう金額と新たな契約の金額を合計しても、690万ドルに達する可能性は高くなさそうだ。
【追記:3/16】
その後の動きについて、こちらで書いた。