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遊撃手と二塁手のポジションを入れ替え、鉄壁の守備陣に!? 一塁と三塁に外野の2人も、かつては遊撃手

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、ボガーツ、マチャド、クローネンワース、キム Jun 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、ハソン・キム(サンディエゴ・パドレス)は、先発144試合中98試合で二塁を守った。チームメイトのザンダー・ボガーツは、先発154試合のうち、DH出場の8試合を除く146試合が遊撃出場だった。

 彼らは、98試合で併殺デュオを組んだ。キムが二塁手としてスターティング・ラインナップに名を連ねた試合は、いずれも、ボガーツが遊撃を守った。

 キムとボガーツは、今年も併殺デュオとしてプレーする。ただ、ポジションは、同じではない。ジ・アスレティックのデニス・リンやMLB.comのAJ・キャッサベルらによると、マイク・シールト監督は、ボガーツが二塁でキムは遊撃、と語ったという。

 キムは、二塁から遊撃へ戻る。2022年は、遊撃手として125試合に先発出場した。昨オフにボガーツが入団したのに伴い、遊撃から二塁へ移った。

 一方、ボガーツは、マイナーリーグを含め、これまでに二塁を守ったことはない。遊撃以外は、三塁だけだ。それも、多くはない。

 けれども、この配置転換は、理に適っているように見える。守備に関しては、キムがボガーツを凌ぐ。

 2019年以降の各シーズンに、パドレスで遊撃出場が最も多かった選手は、2019~21年が3シーズン続けてフェルナンド・タティースJr.、2022年がキム、2023年はボガーツだ。タティースJr.は、怪我と薬物違反による2022年の全休を経て、2023年はライトを守った。引き続き、今年もライトを定位置とする予定だ。

 パドレスには、他にも、かつての遊撃手が少なくない。

 ジェイク・クローネンワースは、メジャーデビュー前の2016~19年に、タンパベイ・レイズ傘下のマイナーリーグで、主に遊撃を守っていた。マニー・マチャドは、パドレスに入団する直前の2018年に、ボルティモア・オリオールズとロサンゼルス・ドジャースの2チームで、遊撃手として計145試合に先発出場した。

 生え抜きのマシュー・バッテンは、2017年のドラフトで、32巡目・全体948位に遊撃手として指名された。マイナーリーグでは、遊撃の通算1605.0イニングが最多。他は、二塁が1201.0イニングと三塁の868.0イニング、あとは300イニング未満だ。ジャリクソン・プロファーは、メジャーデビュー前に、テキサス・レンジャーズ傘下のマイナーリーグで遊撃手だった。メジャーリーグでも、レンジャーズ時代の最後となった2018年は、遊撃出場が最も多かった。

 今年、クローネンワースは、一塁をメインとすることになりそうだ。マチャドは、三塁かDH。バッテンは、三塁手としての出場が多いと思われる。プロファーは、現時点のメンバーからすると、レフトのレギュラーだろう。そうなると、キムとボガーツとタティースJr.を含め、内野の全4ポジションと外野の両コーナーに、遊撃の経験者が揃う。

 なお、併殺デュオのポジション入れ替えにより、今春、パドレスがキムをトレードで放出する可能性は下がった。ただ、キムは、4年2800万ドルの契約4年目(2025年は相互オプション)だ。パドレスがシーズン序盤から低迷した場合、夏のトレードで動くことはあり得る。

 キムのトレードの噂については、こちらで書いた。

「パドレスのキムはトレードの可能性あり。そうなると、母国の韓国で行われる開幕シリーズ出場は幻に!?」

 パドレスの外野については、こちらで書いた。

「パドレスのロースターには外野手が2人だけ。ようやく3人目が加わるが、トリオ結成はまだこれから!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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