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FAのままのサイ・ヤング賞投手は、この捕手と組むと防御率1.29だが、それ以外は防御率3.60

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレイク・スネル(左)とゲリー・サンチェス Sep 2, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、ブレイク・スネルは、両リーグ・ベストの防御率2.25を記録し、サイ・ヤング賞を受賞した。防御率のタイトルもサイ・ヤング賞も、タンパベイ・レイズ時代の2018年に続く2度目だ。6年前の防御率1.89は、ジェイコブ・デグローム(当時ニューヨーク・メッツ/現テキサス・レンジャーズ)の防御率1.70に次ぐ両リーグ2位ながら、ア・リーグでは最も低かった。

 今オフ、スネルは、サンディエゴ・パドレスからFAになった。12月に誕生日を迎えたが、年齢は31歳だ。けれども、2024年の球団は、まだ決まっていない。

 売れ残っていると表現するのは、少し語弊があるかもしれない。USAトゥデイのボブ・ナイテンゲールらによると、ニューヨーク・ヤンキースは6年1億5000万ドルの契約を申し出たが、スネルは9年2億7000万ドル以上の契約を求めているという。

 ただ、希望どおりの契約を手にすることができるかどうかは、わからない。というより、難しい気がする。

 スネルは、2018年と2023年に180.2イニングと180.0イニングを記録しているが、あとの6シーズンはいずれも130イニング未満だ。短縮シーズンの2020年も、50.0イニングなので、規定投球回には達していない。

 また、2018年以降、奪三振率は6シーズン続けて11.00以上だが、キャリアを通し、与四球率3.15未満はなく、直近の3シーズンは4.83→3.59→4.95と推移している。塁上を賑わせても、ホームを踏ませることは多くないものの、与四球も奪三振も多く、球数を費やすため、どのシーズンも1登板平均6イニング未満にとどまっている。

 さらにもう一つ、こちらは偶然かもしれないが、昨年、スネルは、ゲリー・サンチェスとバッテリーを組んだ105.0イニングで防御率1.29を記録した。一方、他の3人と組んだ計70.0イニングは防御率3.60だった。

 こちらもFAになったサンチェスは、今年、ミルウォーキー・ブルワーズでプレーする。サンチェスの契約については、こちらで書いた。

「前年はマイナーリーグ契約の捕手が700万ドルの契約を得る。19本塁打は復活の証なのか」

 サンチェスに続き、ブルワーズがスネルも迎え入れる可能性は、ほぼ皆無だろう。今オフ、ブルワーズは、FAまであと1シーズンのエース、コービン・バーンズをボルティモア・オリオールズへ放出している。バーンズは、スネルよりも2歳若い。

 バーンズのトレードについては、こちらで書いた。

「球団売却を発表した直後に、FAまで1年のエースをトレードで獲得する。2つの動きに関連はあるのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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