Yahoo!ニュース

防御率10.38の投手を獲得し、その代わりに前エンジェルス監督の息子をロースターから外す

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・ネビン(デトロイト・タイガース)May 31, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1月18日、デトロイト・タイガースは、サンフランシスコ・ジャイアンツがウェーバーにかけていたデビン・スウィートを獲得し、それに伴い、タイラー・ネビンをDFAとした。スウィートを40人ロースターに入れるため、ネビンを外し、空きを作った。

 スウィートは、27歳のリリーバーだ。昨年の夏にメジャーデビューし、7登板中4登板でホームランを打たれた。8.2イニングを投げ、防御率10.38を記録している。

 ネビンは、ロサンゼルス・エンジェルスの前監督、フィル・ネビンの息子だ。内野と外野の両コーナーを守る。年齢はスウィートと近く、5月に27歳となる。ドラフト外で大学からプロ入りしたスウィートと違い、ネビンは2015年のドラフト全体38位だが、メジャーリーグ3年目も開花はできず、41試合で打率.200と出塁率.306、2本塁打に終わった。ちなみに、父は、1992年のドラフトで全体1位指名を受けた。

 9月以降、スウィートが移籍するのは3度目だ。1度目は9月2日にシアトル・マリナーズからオークランド・アスレティックス、2度目は12月18日にアスレティックスからジャイアンツへ移った。いずれも、ウェーバー経由の移籍だ。

 メジャーリーグでは打ち込まれたものの、マイナーリーグでは、AAの27登板とAAAの9登板で計44.0イニングを投げ、奪三振率11.66と与四球率2.25、防御率2.25を記録した。また、スタットキャストによると、メジャーリーグで投げた3球種、4シーム、スライダー、チェンジアップのうち、チェンジアップは大きく落下している。アスレティックスもジャイアンツもタイガースも、このあたりに目をつけ、スウィートを獲得したのではないだろうか。

 もっとも、ウェーバーに何度もかけられていることからもわかるように、球団からすると、絶対に手放せない選手ではない。タイガースも、ここから新たな選手を手に入れた際は、スウィートを40人ロースターから外す可能性も大いにありそうだ。

 一方、ネビンを欲しがる球団があるかどうかは、わからない。タイガース傘下のマイナーリーグで開幕を迎えても、おかしくない。過去3年とも、シーズン初出場はAAA――2021~22年はボルティモア・オリオールズ傘下――の試合だった。

 なお、弟のカイル・ネビンは、ロサンゼルス・ドジャースに在籍している。2022年のドラフトで11巡目・全体345位指名を受け、プロ2年目の昨年は、Aの47試合で打率.312と出塁率.388、5本塁打を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事