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7年続けて負け越し、今年は106敗の球団がベテラン投手3人を立て続けに入手。最下位から一気に…!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
セス・ルーゴ Sep 26, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 来シーズン、セス・ルーゴクリス・ストラットンは、カンザスシティ・ロイヤルズで投げるようだ。合意をいち早く報じたMLB.comのマーク・フェインサンドによると、それぞれの契約は、3年4500万ドルと2年800万ドル。ルーゴは2025年のオフにオプト・アウトする――契約を途中で打ち切ってFAになる――ことができ、ストラットンの契約は、2024年が350万ドル、2025年は450万ドルの選手オプションだという。

 彼らの動向をフェンサンドらが伝えたのは、12月12日だ。ロイヤルズは、この前日にウィル・スミスと1年契約を交わした。それについては、こちらで書いた。

「ここ3年ともワールドシリーズ優勝の投手を迎え入れた球団は、その投球よりも「運」にあやかりたい!?」

 スミス、ルーゴ、ストラットンは、3人とも、通算300登板以上のベテランだ。2022年は、いずれも60登板以上。スミスとストラットンは、その前後を含め、3シーズン続けて60試合以上に投げている。このスパンの防御率は、どちらも3.91だ。ルーゴは、先発再転向の今シーズン、26登板で146.1イニングを投げ、防御率3.57を記録した。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、スミスとルーゴが34歳、ストラットンは33歳だ。

 ロイヤルズは、2014~15年に続けてア・リーグを制し、2015年はワールドシリーズ優勝も飾ったが、その後、勝ち越したシーズンは一度もない。2016年は81勝81敗。2017年からは7シーズン続けて負け越し、2018~19年と2023年は100敗以上を喫した。2023年の106敗は、オークランド・アスレティックスの112敗に次ぎ、両リーグで2番目に多かった。

 3投手との契約は、大型補強とは言い難いものの、ロイヤルズは、9年ぶりのポストシーズン進出をめざしているように見える。

 先月中旬には、別々のトレードにより、アトランタ・ブレーブスから投手2人、ニック・アンダーソンカイル・ライトを獲得している。ライトは、10月に肩の手術を受け、来シーズンは全休となりそうだが、アンダーソンは、35登板の35.1イニングで防御率3.06を記録した。

 スミス、ストラットン、アンダーソンの3人が加わるブルペンには、2人のJMがいる。5月にフィラデルフィア・フィリーズから移籍し、翌月にメジャーデビューしたジェームズ・マッカーサーは、9月以降、12登板の16.1イニングで防御率0.00を記録した。8月にデビューしたジョン・マクミロンは、対戦した13人中8人から三振を奪った。マイナーリーグでは、通算奪三振率15.22を記録している。

 ルーゴは、コール・レイガンズブレイディ・シンガーとともに、ローテーションの三本柱――少なくとも現時点では――を形成する。レイガンズは、6月末のトレードで、アロルディス・チャップマン(現FA)の交換要員の一人としてテキサス・レンジャーズから加入し、移籍後は先発12登板の71.2イニングで防御率2.64。シンガーは、ここ2シーズンとも、150イニング以上を投げ、今シーズンの防御率は5.52ながら、昨シーズンは3.23を記録した。

 今シーズン、ロイヤルズで200打席以上の12人中、OPS.800以上は.813のボビー・ウィットJr.しかいなかったが、サルバドール・ペレスは、マスクをかぶりながら、ここ2シーズンともホームランを23本ずつ打ち、2021年は48本塁打でタイトルを獲得している。

 来シーズン、ウィットJr.ともにメジャーリーグ3年目を迎える、MJ・メレンデスビニー・パスクィンティーノは、開花してもおかしくない。メレンデスは、2021年にAAとAAAの計124試合で41本のホームランを打った。パスクィンティーノは、2022年にAAAとメジャーリーグの計145試合で28本塁打だ。2人とも、選球眼も悪くない。

 机上の計算ではあるが、先発投手をあと1人、できれば野手も1人加えれば、コンテンダーとなれそうな気もする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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