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大谷翔平がローテーションに加わらない、来シーズンのドジャースは、山本由伸らを逃すと結構心配!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(中央)と山本由伸(右)MAR 16, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースは、大谷翔平を手に入れた。

 来シーズンの打線は、1番から3番に、ムーキー・ベッツ、大谷、フレディ・フリーマンが――あるいは、ベッツ、フリーマン、大谷の順に――並ぶだろう。それについては、こちらで書いた。

「ドジャース打線の1~3番は、ベッツ、大谷、フリーマンなのか。大谷とフリーマンはどちらも左打者」

 一方、来シーズンのローテーションに、大谷は加わらない。肘の手術により、投手としては全休となる。ドジャースは、大谷以外の5人でローテーションを組む必要がある。

 今シーズン、ドジャースでは、17人が先発マウンドに上がった。先発25登板以上は皆無。135イニング以上を投げた投手もいなかった。

筆者作成
筆者作成

 17人中11人は、現在もドジャースに在籍しているが、ケイレブ・ファーガソンブルースター・グラデロールアレックス・ベシアの3人は、リリーフ投手だ。今シーズンの先発登板は、オープナーか、ブルペン・ゲームの1人目だった。

 ダスティン・メイトニー・ゴンソリンは、それぞれ、7月中旬と9月初旬に肘の手術を受けた。復帰は、メイが来シーズンの後半、ゴンソリンは2025年だろう。

 ボビー・ミラーマイケル・グローブエメット・シーハンギャビン・ストーンライアン・ペピオは、来シーズンがメジャーリーグ2年目か3年目の若手だ。この5人のうち、リリーフ登板を含め、メジャーリーグで1シーズンに70イニング以上を投げたことがあるのは、5月下旬にデビューし、先発22登板で124.1イニングのミラーしかいない。あとの4人は、通算でも100イニングに達していない。

 ライアン・ヤーブローは、スウィングマンといったところだ。今シーズンは、カンザスシティ・ロイヤルズとドジャースで投げ、移籍前は先発とリリーフが7登板ずつ、移籍後は先発2登板とリリーフ9登板だった。

 現在のメンバーでローテーションを組むとすれば、トップ2には、昨年の8月下旬にトミー・ジョン手術を受けたウォーカー・ビューラーとメジャーリーグ2年目を迎えるミラーが並び、3番手以降は、グローブ、シーハン、ストーン、ペピオ、ヤーブローの5人中3人となりそうだ。ポストシーズン進出をめざすチームとしては、かなり心許ない気がする。

 ドジャースは、先発投手を1人ではなく2人、手に入れようとしているのではないだろうか。ビューラー(とヤーブロー)は、来シーズンが終わるとFAになる。ちなみに、FAになったクレイトン・カーショウを呼び戻しても、この人数にはカウントできない。先月初旬、カーショウは、肩の手術を受けたことをインスタグラムで公表した。そこには、「来夏のどこかの時点で復帰してプレーすることを望んでいる」と書いてある。

 フィラデルフィア・エンクワイアラーのスコット・ローバーによると、ドジャースは、フィラデルフィア・フィリーズと7年1億7200万ドルの再契約を交わしたアーロン・ノラに、1億6500万ドルの契約を申し出ていたという。

 ノラについては、こちらで書いた。

「ここ3年に防御率4.50前後が2度の先発投手に7年1億7200万ドルは払いすぎなのか、妥当なのか」

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンは、2度目のサイ・ヤング賞を受賞したブレイク・スネルに興味を抱いている球団の一つに、ドジャースを挙げている。ポスティング・システムを利用し、メジャーリーグ移籍をめざしている山本由伸(オリックス・バファローズ)を欲しがっていることは、言うまでもない。

 ドジャースは、タイラー・グラスナウ(タンパベイ・レイズ)やディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス)をトレードで獲得することも、視野に入れているようだ。ジ・アスレティックのファビアン・アーダヤよると、それぞれの球団と話し合っているらしい。

 もっとも、どの先発投手も、欲しがっているのはドジャースだけではない。ノラの例が示しているように、手に入れられるとは限らない。ドジャースのプランは、ここに挙げた投手のうち2人ではなく、例えば、山本と3~4番手クラスの投手という組み合わせだと思われるが、いずれにせよ、ローテーションを整備できなければ、来シーズンは、大谷を迎えながら12年ぶりにポストシーズン進出を逃す、という事態が起きるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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