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大谷翔平がそうなる可能性のある「本塁打王→移籍→本塁打王」は、ベーブ・ルースの他にもいるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平 Jul 7, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2018年のメジャーデビュー以来、大谷翔平は、ロサンゼルス・エンジェルスの選手としてプレーしてきた。そして、今オフ、エンジェルスからFAになった。来シーズンは、違うチームのユニフォームを着ている可能性が高い。

 今シーズン、大谷は、ア・リーグでは最も多い、44本のホームランを打った。1900年以降、本塁打王を獲得し、そのオフに移籍した選手は、見落としがなければ、15人を数える。

 1907年にボストン・ドーブスで10本塁打を記録したデーブ・ブレインの場合、移籍したのは翌シーズンの開幕後、5月に入ってからだが、ドーブスでプレーしたのは1907年が最後なので、ここに含めた。ハル・チェイスは、1915年にフェデラル・リーグのバッファロー・ブルースで17本のホームランを打ち、本塁打王となった。このリーグは、1914年に誕生し、1915年を最後に消滅した。

筆者作成
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 15人中、移籍の前後とも本塁打王は、1919~20年のベーブ・ルースしかいない。ルースは、移籍を挟んで2シーズンずつ、合わせて4シーズン連続の本塁打王だ。1918~19年にボストン・レッドソックスで11本塁打と29本塁打を記録したのに続き、ニューヨーク・ヤンキースへ移り、1920~21年に54本塁打と59本塁打。1919年から1921年まで、シーズン本塁打のメジャーリーグ記録を更新し続けた。それまでは、エド・ウィリアムソンの27本塁打(1884年)が最も多かった。

 その後も、ルースは、1923~24年と1926~31年に本塁打王を獲得した。これらは、いずれもヤンキース時代だ。1927年の60本塁打は、1961年にロジャー・マリスが61本のホームランを打つまで、最多記録だった。

 ルースの他には、ジミー・フォックスネルソン・クルーズの2人が、新天地において、本塁打王の前年を上回る本数のホームランを打った。

 フォックスは、1935年にフィラデルフィア・アスレティックスで36本塁打を記録し、翌年はレッドソックスで41本塁打(前年プラス5本)。クルーズは、2014年にボルティモア・オリオールズで40本塁打、翌年はシアトル・マリナーズで44本塁打(前年プラス4本)だ。1936年のフォックスは、本塁打王のルー・ゲーリッグに8本差をつけられたが、2015年のクルーズは、前年のチームメイト、クリス・デービス――ファーストネームのイニシャルはC――と3本しか違わなかった。

 クルーズは、マリナーズ2年目の2016年も2位。こちらも前年のチームメイト、マーク・トランボと4本差の43本塁打を記録した。

 2013~16年のア・リーグは、4年続けてオリオールズの選手が本塁打王を獲得している。2013年はデービスが53本塁打、2014年はクルーズが40本塁打、2015年はデービスが47本塁打。そして、2016年は、前年12月のトレードでマリナーズからオリオールズへ移ったトランボが、47本のホームランを打った。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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