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パ・リーグの本塁打王は3人とも「チーム三冠王」だが、岡本和真はそうではなく、打率はチーム3位

宇根夏樹ベースボール・ライター
岡本和真 MAR 16, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 パ・リーグで本塁打王を分け合った、グレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ・マリーンズ)、近藤健介(福岡ソフトバンク・ホークス)、浅村栄斗(東北楽天ゴールデンイーグルス)の3人は、ホームランに加え、打点もチームで最も多く、打率は最も高かった。「チーム三冠王」ということだ。

 一方、セ・リーグの本塁打王、岡本和真(読売ジャイアンツ)は、チーム三冠王ではない。打点はチーム・トップながら、打率はチーム3位だ。読売で規定打席に達した4人の打率は、坂本勇人が.288、大城卓三が.281、岡本が.278、吉川尚輝は.256だった。とはいえ、岡本のOPS.958はセ・リーグで最も高く、出塁率.374もチーム・トップに位置する。

 各チームにおける、打率、本塁打、打点、出塁率、OPS、盗塁のトップは、以下のとおり。打率、出塁率、OPSは、規定打席以上の選手を対象とした。各スタッツの右の数字は、リーグ順位だ。★はリーグ・トップ(1位タイを含む)を示している。

筆者作成
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 チーム三冠王は3人だが、あとの9チームも、打点トップの選手が、打率か本塁打のトップに位置している。この3部門とも、別々の選手というチームはない。

 12チーム中、千葉ロッテだけは、打率.250以上も出塁率.320以上も皆無。ポランコの打率.242と安田尚憲の出塁率.318が、規定打席に達した4人のなかで最も高い。

 パ・リーグの打率ワースト5には、打率.236でワースト3位(20位)の野村佑希(北海道日本ハム・ファイターズ)と千葉ロッテの4人が並ぶ。出塁率も、ワースト1位から7位までの7人中4人、過半数を千葉ロッテの選手が占める。

 もっとも、千葉ロッテのチーム打率.239と出塁率.311はパ・リーグのワーストではなく、4位と3位だ。千葉ロッテでは、規定打席以上の4人に次いで打席が多い2人、380打席の藤岡裕大と372打席の岡大海が、打率.277と.282、出塁率.389と.371を記録した。

 一方、オリックス・バファローズは、12チームで唯一、二桁盗塁の選手が不在だ。これは、走れる選手がいないというよりも、中嶋聡監督が理由かもしれない。2021年以降、オリックスでシーズン二桁盗塁を記録したのは、2022年に11盗塁の中川圭太だけだ。今シーズンと同じく、2021年も盗塁が二桁に達した選手はいなかった。ちなみに、2020年は3人。佐野皓大が20盗塁、安達了一が15盗塁、福田周平は13盗塁だ。

 なお、2年連続の「チーム三冠王」はなし。広島東洋カープ、オリックス、千葉ロッテ、埼玉西武ライオンズの4チームは、打率、本塁打、打点、出塁率、OPS、盗塁のいずれも、昨シーズンとは違う選手がトップになっている。

 昨シーズンの各チーム1位については、こちらで書いた。

「村上宗隆の他に「チーム三冠王」は1人だけ。千葉ロッテは、打率、本塁打、打点のチーム1位がそれぞれ違う」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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