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ハーパーが外野へ戻らず一塁を守り続けることで、マーシュの出場機会は増えるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(中央)とブランドン・マーシュ(右)Sep 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、右肘を痛めるまで、ライトを定位置としていた。昨年の11月下旬にトミー・ジョン手術を受け、5月初旬にDHとして復帰。7月下旬からは、一塁手とDHとしてプレーした。

 来シーズンも、ハーパーは外野には戻らず、一塁を守り続けるようだ。ボストン・グローブのピート・エイブラハムらによると、編成責任者のデーブ・ドンブロウスキがそう語ったという。

 昨シーズンまで、フィリーズの一塁にはリース・ホスキンスがいた。2021年は27本塁打、2022年は30本塁打を記録した。だが、今シーズンは、開幕前に左膝の前十字靭帯を損傷し、すべての試合に欠場。ハーパーが一塁を守ったのは、こうした事情もあった。

 今オフ、FAになったホスキンスに対し、フィリーズは、クオリファイング・オファーを申し出なかった。おそらく、再契約を交わすこともないだろう。

 ハーパーが一塁を守り、DHにはカイル・シュワーバーが入る。今シーズン、シュワーバーの出場は、レフトが103試合、DHは57試合ながら、守備は得意ではない。

 ハーパーとシュワーバーが外野を守らないことにより、他の外野手の出場機会は増える。ただ、来シーズン、ブランドン・マーシュが初の規定打席に到達できるかどうかは、定かではない。

 マーシュは、来シーズンがメジャーリーグ4年目となる。2021年はロサンゼルス・エンジェルスで70試合、2022年はエンジェルスとフィリーズで計134試合、2023年はフィリーズで133試合に出場し、それぞれ、260打席、461打席、472打席に立った。162試合の場合、規定打席は502だ。

 ここ2シーズンとも、マーシュのホームランと盗塁はほぼ変わらず、11本→12本と10盗塁→10盗塁だが、打率は.245→.277、出塁率は.295→.372、OPSは.679→.829と向上している。四球率は6.1%→12.5%と急上昇し、三振率も34.3%→30.5%と少し下がった。

 今シーズンの出塁率(と四球率)からすると、レギュラーとなってもおかしくない。パワーがあまりないことは、問題にならないだろう。フィリーズには、パワーのある打者が多い。なかでも、ハーパーとシュワーバーは、マーシュと同じ左打者だ。けれども、マーシュは、左投手を打てていない。今シーズンは、対右が打率.292と出塁率.387、OPS.864、対左は打率.229と出塁率.321、OPS.717だった。

 今年のポストシーズンのスターティング・ラインナップは、13試合とも、センターとライトは不動。それぞれ、ヨハン・ロハスニック・カステヤノスが守備についた。レフトは、相手の先発投手が右腕の試合はマーシュ、左腕の試合はクリスチャン・パチェが出場した。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第4戦は、このパターンに当てはまらないが、この試合の先発マウンドには、左腕のリリーバー、ジョー・マンティプライ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が上がった。

筆者作成
筆者作成

 マーシュ以外の外野手3人は、いずれも右打者だ。4人とも、FAにはなっていない。カステヤノスは、5年1億ドルの契約2年目を終えたところ。ロハスとパチェは、来月に26歳となるマーシュよりも若い。

 今のところは、来シーズンも、今年のポストシーズンと同じような起用になると思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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