Yahoo!ニュース

山本由伸のメジャーリーグ移籍により、オリックスが得る「移籍金」はいくらになるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
山本由伸 Aug 4, 2021(写真:ロイター/アフロ)

 今オフ、山本由伸(オリックス・バファローズ)は、ポスティング・システムを利用し、メジャーリーグの球団に移籍する。

 山本(と代理人)は、30球団のいずれとも、交渉を行うことができる。45日の交渉期間に、契約を申し出る球団が現れないか、交渉の結果、契約が成立しなかった場合、山本はオリックスに戻るが、そうなる可能性はまずない。

 山本を手に入れた球団は、オリックスに「移籍金」を支払う。その額は、山本と交わす契約によって決まる。

 昨オフ、吉田正尚は、ポスティング・システムを利用し、オリックスからボストン・レッドソックスへ移った。吉田の契約は5年9000万ドル(2023~27年)、「移籍金」は1537万5000ドルだ。

「移籍金」の内訳は、こうなっている。まず、吉田が手にする9000万ドルを、2500万ドル、2500万ドル、4000万ドルに分ける。オリックスが得るのは、最初の2500万ドルの20%=500万ドル、次の2500万ドルの17.5%=437万5000ドル、計5000万ドルを超えた分の4000万ドルの15%=600万ドルだ。500万ドル+437万5000ドル+600万ドル=1537万5000ドルとなる。

 なお、吉田の契約から「移籍金」が差し引かれるわけではない。レッドソックスは、吉田に9000万ドル、オリックスに1537万5000ドルを支払う。

 吉田と同様に、福岡ソフトバンク・ホークスからニューヨーク・メッツへ移籍した千賀滉大は、5年7500万ドル(2023~27年)の契約なので、この計算を当てはめると、500万ドル+437万5000ドル+375万ドル=1312万5000ドルの「移籍金」となるが、福岡ソフトバンクがいくらもらえるのかは、まだ確定していない。を交わした。千賀は、海外FA権を行使したので、福岡ソフトバンクがもらう「移籍金」はない。

 千賀の契約には、アウォード受賞のボーナスがついていて、サイ・ヤング賞の投票順位によって年俸も増える。また、千賀は、2023~25年に計400イニング以上を投げると、2025年のオフに契約を打ち切ってFAになることもできる。一方、右肘の故障に見舞われ、故障者リスト入りが連続130日を超えると、6年目の2028年に年俸1500万ドルの球団オプションが発生する。これらにより、福岡ソフトバンクが得る「移籍金」も変わってくる。

※千賀の移籍について、誤りがあったので、訂正しました。

 仮に、山本の契約が総額1億ドルなら、オリックスがもらう「移籍金」は1687万5000ドルとなる。500万ドル+437万5000ドル+750万ドルだ。

 2013年のシーズン終了後、田中将大(東北楽天ゴールデンイーグルス)は、ポスティング・システムを利用し、ニューヨーク・ヤンキースと7年1億5500万ドル(2014~20年)の契約を交わした。それに際し、東北楽天が得た「移籍金」は、当時の上限となる2000万ドルだったが、今オフ、山本が同額の契約を交わした場合、オリックスはそれを上回る、2512.5万ドルの「移籍金」を手にする。こちらの内訳は、500万ドル(2500万ドルの20%)+437万5000ドル(2500万の17.5%)+1575万ドル(1億500万ドルの15%)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事