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連続試合安打のポストシーズン最長記録が更新される。一方、連続試合ホームランは最長の手前で途切れる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Oct 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月28日に行われたワールドシリーズ第2戦で、ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、最初の4打席とも討ち取られた後、満塁で迎えた5打席目にシングル・ヒットを打った。

 マーテイのポストシーズン出場は、2017年と合わせ、この日が18試合目だ。どの試合も、少なくとも1安打を記録している。18試合連続安打は、ポストシーズンの新記録だ。前日に並んだ、ハンク・バウアー(1956~58年)、デレク・ジーター(1998~99年)、マニー・ラミレス(2003~04年)を上回った。ちなみに、3人の17試合連続安打は、マーテイと違い、ポストシーズン初出場からのストリークではない。

 一方、アドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)は、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第4戦からワールドシリーズの第1戦まで、5試合続けてホームランを打っていたが、10月28日の試合は、最初の3打席ともアウトになり、最後の4打席目は四球で出塁した。

 ポストシーズンの最長記録である、ダニエル・マーフィー(2015年)の6試合連続本塁打には一歩及ばなかった。5試合連続本塁打は、カルロス・ベルトラン(2004年)、ジョージ・スプリンガー(2017~18年/当時ヒューストン・アストロズ/現トロント・ブルージェイズ)、ジャンカルロ・スタントン(2020年/ニューヨーク・ヤンキース)と並ぶ。

 マーテイとガルシアは、ワールドシリーズでプレーする前に、それぞれ、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズのMVPに選ばれた。今年のポストシーズンは、2人とも、ここまで14試合に出場。マーテイは、打率.333(63打数21安打)と出塁率.354を記録し、ホームラン2本を含む長打9本を打ち、11打点を挙げている。ガルシアは、.339(59打数20安打)と出塁率.391、長打はホームラン8本と二塁打1本、打点は22だ。

 マーテイの21安打、ガルシアの8本塁打と22打点は、今年のポストシーズンに出場している選手のトップ。1度のポストシーズンにおける最多安打は29本、最多本塁打は10本だ。どちらも、2020年にランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)が記録した。ガルシアの22打点は、2011年にデビッド・フリーズが挙げた21打点を上回り、すでに最多記録となっている。

 マーテイの11打点は、ガルシアの半分ながら、今年のダイヤモンドバックスでは最も多い。ストリークの継続と停止はさておき、第3戦以降のマーテイとガルシアのバットは、ワールドシリーズ優勝の行方を左右するかもしれない。

 ここまでは、レンジャーズとダイヤモンドバックスが1勝ずつを挙げている。優勝が決まるまでに、少なくともあと3試合、多ければ5試合が行われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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