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ゴールドグラブ9度の名捕手がチームに戻ってくる!? 実現する可能性は90%

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤディアー・モリーナ(左)とアダム・ウェインライト Oct 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヤディアー・モリーナは、セントルイス・カーディナルス一筋にプレーし、昨年のポストシーズンを最後にユニフォームを脱いだ。

 レギュラーシーズンの2184試合とポストシーズンの104試合でマスクをかぶり、ゴールドグラブ受賞は9度を数える。捕手では、13度のイバン・ロドリゲスと10度のジョニー・ベンチに次ぐ多さだ。ちなみに、こちらも捕手だったヤディの兄2人のゴールドグラブは、ベンジーが2度、ホゼは受賞していない。ホゼの場合、好守ながら基本的には控えだったため、ゴールドグラブには縁がなかった。

 来シーズン、ヤディは、再びカーディナルスのユニフォームに袖を通すかもしれない。セントルイスのラジオ局、KTRSの番組に出演したヤディは「そうなる可能性は90%」と語った。現役復帰ではなく、コーチとして戻ることをカーディナルスと話し合っているらしい。

 ヤディとアルバート・プーホルスが引退して迎えた今シーズン、カーディナルスは、2008年から続けていた勝ち越しが15シーズンで途切れ、5年ぶりにポストシーズンへ進めなかっただけでなく、33年ぶりに90敗以上を喫し、こちらも33年ぶりの地区最下位に沈んだ。

 ヤディがプレーした2004~22年の19シーズン中、カーディナルスのポストシーズン進出は13度を数えた。そのうちの4度はワールドシリーズまで進み、2006年と2011年は頂点に立った。名捕手がコーチとして戻ってきただけでチームが浮上できるとは思わないが、ヤディは「カーディナル・ウェイ」を知り尽くしている。その流儀の体現者と言っても、過言ではない。

 なお、課題はいくつもあるが、最優先すべきは、ローテーションの整備だろう。この夏、カーディナルスは、ジョーダン・モンゴメリージャック・フラハティを、それぞれ、テキサス・レンジャーズとボルティモア・オリオールズへ放出した。長年にわたってヤディアーとバッテリーを組んできたアダム・ウェインライトは、200勝にたどり着き、選手生活を終えた。

 来シーズンのローテーションは、マイルズ・マイコラススティーブン・マッツに、あとの3枠は不透明だ。セントルイス・ポスト-ディスパッチのデリック・グールドによると、カーディナルスは、山本由伸(オリックス・バファローズ)にも興味を示しているという。

 ウェインライトの最後の出場については、こちらで書いた。

「200勝に到達した投手のラスト・ゲームは「代打出場」。356本塁打の一塁手は「退場」が最後になる!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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