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ワールドシリーズは2年続けてアストロズ対フィリーズか。ヤンキースを含まない連続同カードは2度だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シュワーバー(左)とブランドン・マーシュ Nov 5, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヒューストン・アストロズとフィラデルフィア・フィリーズは、リーグ優勝にリーチをかけている。リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、どちらも3勝2敗。アストロズが●●○○○、フィリーズは○○●●○だ。第6戦に勝つか、第6戦に敗れても第7戦に勝つと、アストロズは3年連続リーグ優勝、フィリーズは2年連続リーグ優勝となる。昨年のワールドシリーズは、アストロズが4勝2敗でフィリーズを下した。

 同じ2チームによるワールドシリーズが続いたことは、これまでに9度あるが、直近は1977~78年のニューヨーク・ヤンキースとロサンゼルス・ドジャースなので、今から40年以上も前のことだ。地区制がスタートした1969年以降は、この1度だけ。1リーグ2地区から3地区に増えた1994年以降は皆無だ。ちなみに、1994年はストライキにより、ポストシーズンが開催されなかった。

 また、ヤンキースを含まず、同じカードのワールドシリーズが続いたことは、1907~08年のシカゴ・カブスとデトロイト・タイガース、1930~31年のフィラデルフィア・アスレティックスとセントルイス・カーディナルス、この2度しかない。

筆者作成
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 1977~78年のワールドシリーズは、どちらもヤンキースがドジャースを破った。1977年のシリーズMVPはレジー・ジャクソン、1978年はバッキー・デントが受賞した。

 レジーは、1977年の第4戦から第6戦に3試合連続ホームラン。第6戦は3打席連続だ。第5戦の最後の打席にホームランを打ち、そこから、第6戦の1打席目の四球を挟んで3本塁打なので、4打数連続ホームランということになる。翌年のワールドシリーズでも、第1戦と第6戦に1本塁打ずつ。1977年も1978年も、ワールドシリーズで8打点を挙げた。

 レギュラーシーズン通算563本塁打のレジーと違い、デントの通算本塁打は40本に過ぎない。シーズン本塁打は、1977年の8本が最も多かった。だが、1978年は、レギュラーシーズンの最後に値千金のホームランを打っている。この年、ヤンキースとボストン・レッドソックスは、99勝63敗で並んだ。リーグ優勝を決めるために行われた163試合目は、6回裏を終え、レッドソックスが2対0とリードしていたが、7回表にデントが逆転3ラン本塁打。シーズン5本目のホームランだった。ヤンキースは、5対4で勝利を収め、ワールドシリーズへ進んだ。

 デントは、1977年のワールドシリーズが打率.263と出塁率.333、2打点。MVPに選ばれた1978年は、打率.417と出塁率.440、7打点を記録した。この両シリーズを含め、ポストシーズンの通算24試合でホームランは打っていない。

 なお、1977~78年のワールドシリーズに出場した選手のなかには、現アストロズ監督のダスティ・ベイカーもいた。当時、ドジャースでレフトを守っていたベイカーは、1977年のワールドシリーズが打率.292と出塁率.320、1本塁打、5打点。1978年は、打率.238と出塁率.273、1本塁打、1打点だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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