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藤浪晋太郎のいないオリオールズは敗退濃厚!?「0勝2敗から3連勝」で勝ち上がったパターンは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ヒックス(ボルティモア・オリオールズ)Oct 8, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月8日、ボルティモア・オリオールズは、前日に続き、テキサス・レンジャーズに敗れた。それぞれのスコアは、2対3と8対11だ。あと1敗を喫すると、ディビジョン・シリーズ敗退となる。

 オリオールズのロースターに、藤浪晋太郎は入っていない。レンジャーズのロースターは投手と野手が13人ずつだが、オリオールズは投手12人と野手14人だ。

 ポストシーズンのロースターは、シリーズごとにセットされる(故障者が出た場合は、シリーズ途中の入れ替えも可能)。最多でも5試合のディビジョン・シリーズと違い、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズは、どちらも最多なら7試合だ。

 オリオールズも、ディビジョン・シリーズを勝ち上がれば、次のシリーズでは投手を増やすだろう。それが誰になるのかはわからないものの、藤浪の可能性もある。また、メンバーの入れ替えもあり得る。ジェイコブ・ウェブは、第1戦も第2戦も、ホームランを打たれている。

 ただ、0勝2敗から3連勝のパターンは、そう多くない。

 1995~2022年のディビジョン・シリーズ、全112カード(4カード×28年)から、最初の2試合を終えて1勝1敗の47カードを除くと、65カードが残る。

 この65カードのうち、今年のオリオールズのように、0勝2敗となったチームの3連勝(●●○○○)は7カードだ。65分の7は10.8%。ざっくり言うと、第1戦と第2戦に続けて敗れた10チーム中9チームは、次のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズに進むことができていない。

 それ以外は、第3戦も黒星の0勝3敗(●●●)が過半数の38カード(58.5%)を占める。第3戦に勝って第4戦に敗れた1勝3敗(●●○●)が16カード(24.6%)、第3戦と第4戦に勝って第5戦に敗れた2勝3敗(●●○○●)が4カード(6.2%)となっている。

 0勝2敗から3連勝の7チームは、1995年のシアトル・マリナーズ(対ニューヨーク・ヤンキース)、1999年のボストン・レッドソックス(対クリーブランド・インディアンズ)、2001年のヤンキース(対オークランド・アスレティックス)、2003年のレッドソックス(対アスレティックス)、2012年のサンフランシスコ・ジャイアンツ(対シンシナティ・レッズ)、2015年のトロント・ブルージェイズ(対レンジャーズ)、2017年のヤンキース(インディアンズ)だ。

 2001年は、第3戦にデレク・ジーターが「ザ・フリップ」を演じ、2017年の第3戦は、アーロン・ジャッジがホームランをもぎ捕った。それについては、こちらで書いた。

「田中将大が好投した地区シリーズ第3戦は、ジーターが伝説のプレーを演じた試合といくつも共通点があった」

 直近の5年(2018~22年)に限ると、0勝2敗となった10チームに、そこから3連勝は皆無。●●○○●も、2019年のタンパベイ・レイズ(対ヒューストン・アストロズ)しかなく、あとの9チームは、0勝3敗あるいは1勝3敗で敗退している。

 なお、オリオールズのロースターに入っている26人のなかには、0勝2敗からの3連勝を経験している選手がいる。6年前、アーロン・ヒックスは、ヤンキースのセンターとして、ディビジョン・シリーズの5試合で打率.316(19打数6安打)と出塁率.350、1本塁打、4打点を記録した。第2戦の3ラン本塁打は勝利につながらなかったものの、第4戦はトレバー・バウアー(現・横浜DeNAベイスターズ)からタイムリー・ヒットを打った。

 今年のディビジョン・シリーズの2試合は、2打数0安打(2四球)と5打数2安打だ。第2戦は、0対0の1回裏に2死満塁からヒットで2者を生還させ、5対11で迎えた9回裏には3ラン本塁打を打っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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