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右肘靱帯の手術を受けた野手は、いつ復帰できるのか。手術は大谷翔平の翌日

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイソン・ドミンゲス(ニューヨーク・ヤンキース)Sep 8, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月20日、ジェイソン・ドミンゲス(ニューヨーク・ヤンキース)は、右肘の手術を受けた。

 ドミンゲスは、病院のベッドに寝ている写真をインスタグラムにアップし、絵文字を交えながら「正式なバイオニックになった。スティーブにVIP待遇を受けている」と書き込んだ。スティーブは、ヤンキースのメディカル部門を司る、スティーブ・ドナヒューだ。

 ヤンキースの広報は、手術について「インターナル・ブレーシング(人口人工靱帯の使用)を含むトミー・ジョン手術」、復帰までの期間は「9~10ヵ月の見込み」と発表している。執刀したのはドナヒューではなく、テキサス・レンジャーズのチーム・ドクター、キース・マイスターだという。

 ドミンゲスは、20歳の外野手だ。9月1日にメジャーデビューし、8試合で4本のホームランを打った。今シーズンは、その前にAAの109試合とAAAの9試合に出場。計118試合で打率.265と出塁率.377、15本塁打と40盗塁、OPS.802を記録した。右肘を痛めなければ、来シーズンは、開幕からセンターのレギュラーとしてプレーしていたと思われる。なお、ドミンゲスは、右投げのスイッチ・ヒッターだ。

 見込みのとおりなら、ドミンゲスは、来シーズンの開幕には間に合わない。復帰はオールスター・ブレイク前後、6月下旬から7月下旬までのどこか、ということになる。

 一方、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、ドミンゲスの前日に手術を受けた。同じ術式ではないかもしれないが、右肘の靱帯の手術という点は共通する。

 大谷の代理人が出した声明文には、執刀したニール・エラトロッシュのコメントも記されていて、その最後には「完全な回復を期待しているし、2024年の開幕日には何の制約もなく打つことができ、20152025年はどちらも(打撃と投球)そうできるだろう」とある。来シーズンの開幕は3月下旬なので、打者としての復帰は6ヵ月後の予定だ。

 5年前、大谷は10月1日にトミー・ジョン手術を受けた。翌シーズンの初出場は5月7日。手術から7ヵ月後だった。

 また、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)のトミー・ジョン手術は、昨年11月23日。今シーズン、復帰を果たしたのは5月2日だ。手術から6ヵ月経っていなかった。

 ただ、ハーパーが初めて守備についたのは、7月21日だ。その前日までの出場は、DH(と代打)だった。守備の復帰は、手術から8ヵ月後ということになる。

 ハーパーが守るようになるまでの期間は、ドミンゲスの「9ヵ月から10ヵ月」より少し短い。これには、術式の違い、個人差、一方はあくまでも見込み、などの理由が挙げられる。

 さらに、ポジションの違いもあるかもしれない。ドミンゲスと同じく、ハーパーも外野手だが、今シーズンは一塁の守備についている。本来なら一塁を守っているはずのリース・ホスキンスが全休しているためだが、一塁手よりも送球距離が長い外野手としてプレーするには、さらに期間を必要とした可能性もある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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