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1シーズンに3チームで投げ、どのチームでも「1試合8失点以上」の大炎上

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーカス・ジオリト(クリーブランド・ガーディアンズ)Sep 4, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月4日、ルーカス・ジオリト(クリーブランド・ガーディアンズ)は、4イニング目のマウンドには上がらなかった。

 最初の3イニングで、計9点を取られた。1回表にホームランで1失点、2回表に押し出しの四球とグランドスラムで5失点、3回表はホームランと二塁打と犠牲フライで3失点だ。

 オプタ・スタッツによると、1シーズンに3チームの投手として1試合8失点以上を記録したのは、1899年にルイビス・コロネルズ、フィラデルフィア・フィリーズ、ワシントン・セネタースで投げた、ビル・マギー以来だという。

 今シーズン、ジオリトは、7月26日にシカゴ・ホワイトソックスからロサンゼルス・エンジェルスへ移り、8月31日にエンジェルスからガーディアンズへ移籍した。ホワイトソックスでは、7月18日に8失点。エンジェルスでは、8月2日に9失点。そして、ガーディアンズでは、移籍後の初登板が9失点だ。3登板とも、非自責点はなかった。

 エンジェルスと同じく、ガーディアンズもポストシーズン進出をめざし、ジオリトらを獲得した。レイナルド・ロペスは、ジオリトと同じトレードでエンジェルスへ移り、ジオリトと同じ日にガーディアンズへ移籍した。ガーディアンズは、ジオリトとロペスだけでなく、開幕からエンジェルスにいたマット・ムーアも手に入れた。

 9月4日の試合は、ガーディアンズにとって、負けるわけにはいかない「マスト・ウィン・ゲーム」だった。相手は、ガーディアンズと同じア・リーグ中地区の首位にいるミネソタ・ツインズだ。この試合を終え、その差は、5ゲームから6ゲームに広がった。ガーディアンズとツインズが顔を合わせるのは、あと2試合。9月5日と6日だけだ。

 ガーディアンズがワイルドカードをゲットする可能性は、まずない。ジオリトらを獲得した時点で、ガーディアンズはエンジェルスと同じ64勝70敗。ワイルドカードの3番手に、10ゲーム以上の差をつけられていた。現在も、状況はほとんど変わっていない。

 今オフ、ジオリトはFAになる。大人気とはいかないだろうが、それなりの需要はあるはずだ。シーズン全体の防御率は4.88だが、大炎上が3度ありながら、それでも5.00未満という見方もできる。

 計10.1イニングで自責点26の3登板を除くと、あとの25登板は、146.1イニングで防御率3.63となる。5イニング以上を投げて自責点3以下は18登板。そこに、5イニング以上で自責点4を含めると、22登板を数える。現在の年齢は29歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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