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昨年はエンジェルスにいたこの投手はトレード市場で人気!? 先発登板の約60%が自責点1以下

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・ロレンゼン(デトロイト・タイガース)Jul 20, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月20日、マイケル・ロレンゼン(デトロイト・タイガース)は、7イニングを投げ、得点を許さなかった。

 MLB.comのジョン・モロシは、こうツイートしている。

「マイケル・ロレンゼンのトレード・バリューは、ちょうどいい時にピークを迎えている。アストロズとレイズもデッドラインまでに獲得を検討している球団だ。今日を含め、タイガースのロレンゼンは直近の先発3登板で18.2イニングを投げて無失点」

 昨シーズンは、ロサンゼルス・エンジェルスで18試合の先発マウンドに上がり、防御率4.24を記録した。今シーズンも、6月を終えた時点の防御率はほとんど変わらず、14登板で4.28だった。そこから、無失点を3登板続け、防御率は3.49まで下がっている。

 しかも、好投は、直近の3登板に限らない。17登板のうち、約60%の10登板は、5イニング以上を投げて自責点1以下だ。5イニング以上で自責点2以下とすると、6月25日の5イニングで自責点2も含まれ、その割合は全登板の64.7%まで上がる。

 ちなみに、前チームメイトの大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、ここまでの18登板で防御率3.50。5イニング以上で自責点1以下は8登板、5イニング以上で自責点2以下は9登板だ。

 タイガースは、地区首位と5ゲーム差の3位にいて、ワイルドカードの3番手――正確には2番手に2チームが並んでいる――には9.5ゲーム離されている。ポストシーズン進出の目は潰えていないが、夏のトレード市場では、買い手よりも売り手に回る可能性のほうが高い。

 ただ、ロレンゼンには、リスクも潜んでいる気がする。自責点2以下の11登板を除くと、あとは、自責点5と自責点6が3登板ずつだ。自責点3と自責点4はなく、登板ごとの出来不出来がはっきりしている。

 また、ア・リーグで規定投球回以上の31人中、与四球率は11位の2.32だが、奪三振率はワースト3位の6.79だ。

 それでも、ヒューストン・アストロズとタンペバイ・レイズをはじめ、欲しがる球団は少なくないと思われる。ロレンゼンの契約は、1年850万ドル+出来高だ。7月末に獲得した場合、以降の支払い額は、大雑把に見積もって300万ドル前後となる。FAまでの数ヵ月、防御率3.50前後の先発投手を「レンタル」するのに、決して高い金額ではない。保有期間が短いので、トレードの見返りもそう大きくなくて済む。

 なお、ロレンゼンの次の登板は、7月25日が予定されている。それまでに移籍していなければ、エンジェルスを相手に投げる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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