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ヤンキースがレッドソックスから外野手を獲得する。両チームのトレードは今世紀3度目

宇根夏樹ベースボール・ライター
グレッグ・アレン Mar 12, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月19日、ニューヨーク・ヤンキースは、ディエゴ・ヘルナンデス+金銭と交換に、ボストン・レッドソックスからグレッグ・アレンを獲得した。

 右投手のヘルナンデスは、18歳のマイナーリーガーだ。外野手でスイッチ・ヒッターのアレンは、30歳。2017~22年の6シーズンに、メジャーリーグで282試合に出場している。ヤンキースには、2021年にも在籍。その時は、AAAの73試合とメジャーリーグの15試合に出場した。

 ヤンキースとレッドソックスによるトレードは、今世紀に入ってから3度目だ。2014年7月のトレードは、ヤンキースがスティーブン・ドルーと金銭を獲得し、レッドソックスはケリー・ジョンソンを得た。2021年1月のトレードは、ヤンキースが金銭、レッドソックスはアダム・オッタビーノ(現ニューヨーク・メッツ)とフランクリン・ハーマン(現シンシナティ・レッズ)を手に入れた。

 この3度を含め、1970年以降、両チームのトレードは7度しか成立していない。1998~2013年は、皆無だった。

 もっとも、さらに遡れば、両チームのトレードは、決して少なくなかった。その一つは、後に「バンビーノの呪い」として知られるようになる。1919年12月、レッドソックスは、10万ドルと引き換えに、ベーブ・ルースをヤンキースに譲った。

 今回のトレードは、ヤンキースがアレンを欲したのではないかと思われる。現在のアクティブ・ロースターには、外野を守る選手が7人いるが、アーロン・ジャッジとハリソン・ベイダーを除く5人のスタッツは、準レギュラーとしても物足りない。

 オズワルド・カブレラアイザイア・カイナー-ファレファアーロン・ヒックスウィリー・カルフーンジェイク・バウアーズの出塁率は、いずれも.305未満だ。5人ともパワーを発揮しているわけでもなく、OPS.665以上もいない。カブレラ、カイナー-ファレファ、ヒックスの3人に至っては、出塁率.265未満&OPS.585未満だ。

 カブレラ以外の4人は、マイナーリーグ・オプションが切れているが、アレンをロースターに加える場合――ヤンキースがすぐにそうするかどうかはまだ不明ながら、その可能性は低くない――代わりに誰が外されてもおかしくない。

 今シーズン、アレンはAAAで37試合に出場し、出塁率.407を記録している。もともとパワーはなく、ホームランは2本しか打っていないものの、23盗塁を決め、失敗は一度もない。前回のヤンキース在籍時も出塁率は高く、AAAで.442、メジャーリーグでは.417だった。

 一方、レッドソックスは、出塁率.375以上の外野手を4人擁している。アレックス・バーデューゴ吉田正尚ジャレン・デュランロブ・レフスナイダーがそうだ。レフスナイダー以外の3人は、OPSも.870を超えている。あとの1人、ライメル・タピアにしても、出塁率は.317なので、ヤンキースの5人よりは上だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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