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この選手は干されているのか。年俸は1050万ドル、年齢は33歳。出場は開幕3試合で1打席だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ヒックス(ニューヨーク・ヤンキース)Feb 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月2日の朝、アーロン・ヒックス(ニューヨーク・ヤンキース)は「自分の役割がわからない」と言ったという。ジ・アスレティックのブレンダン・クティが、そう報じている。

 33歳のヒックスは、スイッチ・ヒッターの外野手だ。2016年からヤンキースでプレーしている。2018年はセンターのレギュラーとして出塁率.366と27本塁打を記録し、オフに7年7000万ドル(2019~25年)の延長契約を交わした。今シーズンは、契約5年目。年俸は1050万ドルだ。

 短縮シーズンながら、2020年は出塁率.379と6本塁打。過去2シーズンは不調だったものの、実績と契約、年齢からすると、今シーズンはレフトのレギュラーとして起用されてもおかしくなかった。

 だが、開幕戦の出場はなく、2試合目は代打の1打席目のみ。3試合目も出場しなかった。ヒックスの発言は、3試合目のスターティング・ラインナップに入らないことがわかった後だ。

 ヤンキースでは、センターに予定されていたハリソン・ベイダーが、3月上旬に左の脇腹を痛め、故障者リストに入っている。最初の2試合は、レフトにオズワルド・カブレラ、センターにアーロン・ジャッジ、ライトにはジャンカルロ・スタントンが位置した。3試合目は、左から右へ、カブレラ、アイザイア・カイナー-ファレファ、ジャッジが並んだ。

 スタントンは、過去3シーズンとも、DHをメインとしてきた。今シーズンがメジャーリーグ6年目のカイナー-ファレファは、これまでの5シーズン、センターどころか外野を守ったこともなかった。ヤンキース1年目の昨シーズンは、遊撃のレギュラーとしてプレーした。

 また、スプリング・トレーニングにおいて、ヒックスとともにレフトの候補と目されていたカブレラは、エキシビション・ゲームでヒックスを上回るスタッツを記録したとはいえ、昨年の夏にメジャーデビューするまでは、基本的に一塁以外の内野を守っていた。

 にもかかわらず、ヒックスの出場は、皆無に近かった。

 開幕4試合目の4月3日、ヒックスの発言が理由ではないだろうが、アーロン・ブーン監督は、ヒックスを「7番・レフト」に起用する。外野には、ヒックス、ジャッジ、フランチー・コルデロの3人が並ぶ。コルデロは、ボルティモア・オリオールズの開幕ロースターに入れず、3月30日にヤンキースに入団した。

 ヒックスは、ようやく、スターティング・ラインナップに並んだ。けれども、ここから出場機会を得られるかどうかは、わからない。コルデロが加わりシーズン初出場のコルデロに加え、今月中旬か下旬にはベイダーも戻ってくる見込みだ。

 ヒックスは、近年の不調のみならず、3000万ドル近い契約が残っていて、故障も少なくない。ヤンキースがトレードの相手を見つけるのは、残る契約の大半を負担しない限り、難しそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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