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大学野球のトップ・クラスに史上初の女性選手が現れる。将来は女性メジャーリーガーも!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
その女性選手は二刀流(写真:イメージマート)

 3月17日、ブライアント大とブラウン大が対戦した試合は、10対1でブライアント大が勝利を収めた。5回表から8回表まで、ブライアント大は、1点、2点、3点、4点を挙げ、8回裏に1点を返されたものの、9回裏はブラウン大の攻撃を3人で終わらせた。

 イニングごとに得点が1点ずつ増えていったくらいでは、大したニュースにはならない。だが、9回裏の1死走者なしから代打として起用され、一塁ゴロに討ち取られたオリビア・ピチャードは、そのファースト・ネームから窺えるとおり、男性ではなく女性だ。

 これまでにも、アメリカの大学野球でプレーした女性はいたものの、ピチャードの前に、NCAAディビジョンⅠの試合に出場した女性はいなかった。

 ピチャードは、ブラウン大の1年生。右投げ左打ちの投手&外野手だ。昨年の夏には、USAウイメンズ・ナショナル・チームのメンバーに選出され、7月28日~8月1日にアメリカとカナダが対戦したフレンドシップ・シリーズの5試合に、センター、投手、センター、ライト、センターとして、いずれも先発出場。打者としては、11打数2安打、3打点、投手としては、3イニングを投げ、奪三振5、被安打2、与四球3、1失点(自責点0)を記録した。

 メジャーリーグのドラフトで、ピチャードが指名される可能性は高くなさそうだ。ベースボール・リファレンスによると、ブラウン大出身のメジャーリーガーは40人以上を数えるが、1942年以降に限ると、1974~88年に出場1236試合の内野手、ビル・アーモンしかいない。アーモンは、1974年のドラフト全体1位だが、ここ4年(2019~22年)のドラフトで指名されて入団した、ブラウン大の選手は皆無だ。2018年にニューヨーク・ヤンキースから40巡目・全体1207位指名を受けた、リード・アンダーソンを最後に途絶えている。アンダーソンは、マイナーリーグで通算26試合に投げ、2021年の夏に引退した。

 ただ、ピチャードに続く選手は、これからも出てくるはずだ。いつの日か、メジャーリーグでプレーする女性選手が現れるのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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