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通算321本目のホームランは、初のサヨナラ本塁打。300本塁打以上でサヨナラ本塁打がないのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス(ニューヨーク・メッツ)Jun 13, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月13日、ニューヨーク・メッツは、3安打に抑えられた。一方、マイアミ・マーリンズは、倍以上の8安打。長打も、メッツの二塁打1本とホームラン1本に対し、マーリンズは二塁打1本とホームラン2本を記録した。

 だが、試合は、3対2でメッツがマーリンズに勝った。最初の5イニングは無安打に封じられ、6回裏のシングル・ヒットも、得点には結びつかなかった。7回裏も、J.D.マルティネスの二塁打とその前後の四球で無死満塁としたが、5-4-3の併殺打の間に1点を返したのみ。逆転したのは、試合の最後だ。9回裏の1死二塁から、J.D.がホームランを打った。

 このホームランは、J.D.の通算321本目。それまでの320本塁打のなかに、サヨナラ本塁打はなかった。

 オプタ・スタッツによると、J.D.がキャリア初のサヨナラ本塁打を打ったことで、通算300本塁打でサヨナラ本塁打なしの選手は、377本塁打のノーム・キャッシュだけになったという。通算300本塁打には、キャッシュとJ.D.を含め、161人が到達している。

 また、こちらは、イライアス・スポーツ・ビューローによると、初のサヨナラ本塁打の前に320本塁打は、マーク・テシェーラの408本塁打とホゼ・バティスタの336本塁打に次ぎ、3番目の多さだという。テシェーラの通算本塁打は409本だ。2016年9月28日のサヨナラ本塁打――2点ビハインドの9回裏に、ジョー・ケリー(当時ボストン・レッドソックス/現ロサンゼルス・ドジャース)から打った逆転サヨナラ・グランドスラム――が、キャリア最後のホームランとなった。バティスタは通算344本塁打。テシェーラと同じく、サヨナラ本塁打は1本しかなく、その前後に、336本塁打と7本塁打を記録した。

 テシェーラは、レギュラーシーズンの他に、2009年のディビジョン・シリーズ第2戦で、11回裏にサヨナラ本塁打を打っている。この時点におけるレギュラーシーズンの通算本塁打は、242本だった。ちなみに、2009年は、テシェーラのニューヨーク・ヤンキース1年目。この年を最後に、ヤンキースは、ワールドシリーズ優勝から遠ざかっている。

 キャッシュ、バティスタ、J.D.の3人も、ポストシーズンでホームランを打っているが、サヨナラ本塁打は皆無だ。

 なお、サヨナラ本塁打を打っていない現役選手――2024年にメジャーリーグでプレーしている選手――の通算本塁打トップ3は、見落としがなければ、199本のクリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)、191本のジャスティン・ターナー(トロント・ブルージェイズ)、188本の大谷翔平(ドジャース)だ。

 この3人のうち、ターナーは、2017年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第2戦で、サヨナラ本塁打を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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