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「打てない名手」は新天地でレギュラーになれるのか。過去2年のOPSはワースト

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャッキー・ブラッドリーJr. Sep 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月が終わるまで、ジャッキー・ブラッドリーJr.は、FA市場に残っていた。ようやく、カンザスシティ・ロイヤルズとマイナーリーグ契約を交わし、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、スプリング・トレーニングに参加する。

 ブラッドリーJr.は、守備の優れた外野手だ。来月に33歳となるが、まだ、その技量は錆びついていない。過去2年のDRSは+12と+5、OAAは+4と+8。それらを合計したDRS+17とOAA+12は、外野手の13位と14位タイに位置する。

 また、常に「守備の人」だったわけではない。OPSが.800を超えたシーズンは3度を数え、2015年と2020年は300打席未満ながら、2016年は636打席でOPS.835を記録した。この年は26本塁打。2019年も、21本のホームランを打っている。

 けれども、近年の打撃は低迷を極めている。過去2年の出塁率は.236と.255、OPSは.497と.566だ。トータルの出塁率.245とOPS.530は、どちらも、このスパンに計700打席以上の212人のなかで最も低い。

 それでも、開幕ロースター入りの可能性は、あるように思える。うまくいけば、レギュラーとなるかもしれない。

 昨年の夏、ロイヤルズは、アンドルー・ベニンテンディ(現シカゴ・ホワイトソックス)をニューヨーク・ヤンキースへ放出した。今年1月には、マイケル・A・テイラーも手放している。こちらは、ミネソタ・ツインズとのトレードだ。

 また、テイラーに代わるセンターの筆頭候補だったドルー・ウォータースは、先月下旬に左の脇腹を痛めた。ウォータースもそうだが、他の外野手たち、カイル・イズベルネイト・イートンエドワード・オリバレスも、メジャーリーグの出場は通算150試合に満たない。内外野を守るサマッド・テイラーは、メジャーデビュー前だ。

 マイナーリーグ契約のブラッドリーJr.やフランミル・レイエスが、彼らを押しのけてもおかしくはない。ウォータースの故障により、ロイヤルズはブラッドリーJr.を入団させたという見方もできる。

 なお、ブラッドリーJr.と違い、レイエスは守備が得意ではない。2019年の37本塁打と2021年の30本塁打が示すとおり、パワーがセールス・ポイントだ。ブラッドリーJr.とレイエスは、外野手とDHとして、揃ってロースター入りもあり得る。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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