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首位打者を獲得した選手のうち、通算打率が最も低いのは…。この選手は奇跡の首位打者!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
吉岡悟 1977(写真:岡沢克郎/アフロ)

 2リーグ制となった1950年以降、首位打者を獲得した選手は91人(延べ148人)を数える。昨年の松本剛(北海道日本ハム・ファイターズ)と村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)は、90人目と91人目だ。

 彼らのほとんどは、通算の打率も高い。現役選手の場合、通算打率はこれから上下するが、現時点ではいずれも.280を超えている。例えば、松本と村上の通算打率は、どちらも.281だ。

 けれども、首位打者のシーズンがありながら、通算打率は.250前後という選手もいる。1976年のパ・リーグ首位打者と1953年のパ・リーグ首位打者、吉岡悟岡本伊三美の通算打率は、それぞれ、.247と.257だ。

 首位打者のタイトルを手にした選手のうち、通算打率.280未満は18人いる。そのなかでも、吉岡と岡本の通算打率は、群を抜いて低い。

筆者作成
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 吉岡も岡本も、二塁を守りながら、首位打者を獲得したことは共通する。

 ただ、岡本は、首位打者の前年に打率.299を記録している。1957年の打率も.273なので、そう低くはない。この2シーズンの打率は、リーグ9位と13位だ。

 一方、吉岡は、首位打者の1976年を除くと、打率.250を超えたシーズンがない。1969~75年の7シーズンは、計135試合しか出場しておらず、シーズン打率は、1974年の.250(12打数3安打)が最も高かった。首位打者の翌年以降、1977~81年の5シーズンは、いずも打率.240未満だ。

 また、吉岡は、通算19本の三塁打のうち、13本を1976年に打っている。他のシーズンは2本以下だ。シーズン13三塁打は、歴代6位タイに位置する。

 なお、1976年のパ・リーグ打率トップ5には、吉岡(.309)、藤原満(.302)、門田博光(.300)、加藤秀司(.300)、白仁天(.288)が並んだ。吉岡以外の4人は、通算打率が.275を超えていて、加藤と白の2人は、違うシーズンに首位打者を獲得している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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