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マリナーズが手に入れたベテランの外野手は、同地区のエンジェルスとレンジャーズ対策!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
Aug 12, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 35歳の外野手、AJ・ポロックは、シアトル・マリナーズに入団するようだ。ESPNのジェフ・パッサンが、1年700万ドルの契約で合意、と報じている。今オフ、ポロックは、年俸1300万ドルの選手オプションを破棄し、シカゴ・ホワイトソックスからFAになった。

 OPS.892を記録した2021年から一転し、2022年はOPS.681に終わった。これらは、自己ベストと自己ワーストだ。年齢も踏まえると、選手オプションを行使し、残留してもよかったように思える。

 解約金の500万ドルとマリナーズから得る700万ドルを合計しても、オプションの1300万ドルには届かない。もしかすると、ホワイトソックスにいたままでは出場機会が減ると考え、FA市場に出たのかもしれない。

 一方、OPS.700に届かなかった35歳の外野手に対し、マリナーズが700万ドルを投じたのは、少し多すぎる気もする。シーズン本塁打は2018年と2021年の21本が最多なので、それほどパワーがあるわけではない。また、かつてほどの好守ではなくなり、近年は盗塁も減っている。

 ただ、ポロックは、左投手を得意としてきた。この点は、2022年も変わっておらず、14本塁打中11本は、左投手から打った。そのペースは、11.5打数/本だ。対左のOPS.935は、左投手との対戦が100打席以上の229人中、19番目に高かった。

 マリナーズには、こんな思惑があるような気がする。

 ア・リーグ西地区では、オークランド・アスレティックスを除く4チームがポストシーズン進出をめざしている。ヒューストン・アストロズのローテーションに並びそうな投手のうち、左投手はフランバー・バルデスしかいないが、テキサス・レンジャーズはマーティン・ペレスアンドルー・ヒーニーの2人を擁する。ロサンゼルス・エンジェルスに至っては、現時点でほぼ確定している5人中、大谷翔平以外の4人が左投手だ。3連戦あるいは4連戦のいずれも、左投手ということもあり得る。

 なお、レンジャーズとエンジェルスのローテーションについては、それぞれ、こちらで書いた。

「開幕ローテーションに入れないのは誰? デグロームら4人が加わり、レンジャーズには先発投手が8人」

「エンジェルスのローテーションは期待大!? 「後半戦に防御率3.50未満」を5人擁するチームは他に皆無」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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