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ヌートバーの「ブレイク」は今年も続くのか。昨年は7月以降にOPS.881

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルバート・プーホルス(左)とラーズ・ヌートバー Sep 11, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日本代表としてWBCに出場した後、ラーズ・ヌートバーは、セントルイス・カーディナルスのライトとして開幕を迎えるだろう。

 昨年は開幕ロースターに入り、メジャーリーグ2年目を迎えたものの、当時のヌートバーはレギュラーではなく、控えの外野手だった。降格と昇格を繰り返した後、台頭したのは初夏に入ってからだ。6月を終えた時点では、出場31試合(先発17試合)で、2本塁打、出塁率.221、OPS.481に過ぎなかったが、7月以降は77試合(先発65試合)に出場し、12本塁打、出塁率.374、OPS.881を記録した。このスパンに250打席以上の156人中、ヌートバーのOPSは14番目に高く、.893の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と.880のボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)の間に位置した。

 ちなみに、7月半ばにも、ヌートバーはAAAに降格している。この時は、翌日にメジャーリーグへ戻り、その後は、ライトのレギュラーとしてプレーした。

 少し気になるのは、ヌートバーとともに外野トリオを形成する予定の2人、レフトのタイラー・オニールとセンターのディラン・カールソンがたどった道のりだ。彼らは、2021年に飛躍した。オニールは138試合で、34本塁打、出塁率.352、OPS.912、カールソンは149試合で、18本塁打、出塁率.343、OPS.780を記録した。そして、2022年は「2年目のジンクス」ではないものの、揃って成績を大きくダウンさせた。OPSを例に挙げると、オニールは.912→.700、カールソンは.780→.695だ。

 ただ、同じ外野手ではあるものの、ヌートバーの選球眼は、2人よりも優れている。マイナーリーグの通算四球率は11.4%。メジャーリーグでは、2021年が10.5%、2022年は14.7%だ。この結果、2022年の打率は.228ながら、出塁率は打率を112ポイント上回った(.001=1ポイントとして表記)。7月以降も同様だ。四球率16.3%を記録し、打率.253に対して出塁率.374。こちらは、121ポイントの差がある。

 優秀な選球眼に加え、昨年の打率が高くなかった点を踏まえると、オニールとカールソンのような成績の下降は、少なくとも出塁率においては、起こりにくい気がする。オニールとカールソンの場合、2021→2022年の四球率は下がっていないが、打率が下降し、出塁率もダウンした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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