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センターは誰だ? レフトとライトを放出し「名手のセンター」と「センターを守れる捕手」を加える

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドールトン・バーショー Aug 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、トロント・ブルージェイズは、外野のレギュラー2人、テオスカー・ヘルナンデスルルデス・グリエルJr.をトレードで放出した。今シーズン、テオスカーはライト、グリエルJr.はレフトとして、それぞれ100試合以上に先発出場した。

 一方、ブルージェイズは、ケビン・キアマイアーと1年900万ドルの契約を交わし、グリエルJr.と若手捕手のゲイブリエル・モレイノと交換に、アリゾナ・ダイヤモンドバックスからドールトン・バーショーを獲得した。

 これまで、キアマイアーは、ブルージェイズと同地区のタンパベイ・レイズでプレーしてきた。センターを守り、2015~16年と2019年にゴールドグラブを受賞している。今シーズンは故障に泣かされたが、外野手として記録した2014~21年のDRSは、8シーズンとも+10以上だ。2016年以降は、センターしか守っていない。

 バーショーは、外野を守り、マスクもかぶる。今シーズンの先発出場は、ライトが61試合、センターが42試合、捕手が18試合、DHは15試合だ。外野のDRS+19は、両リーグ2位タイ。ライトで+14、センターで+5を記録した。ブルージェイズには2人の捕手、アレハンドロ・カークダニー・ジャンセンがいるので、バーショーの出場は、来シーズンも外野がメインになるだろう。モレイノを手放したのも、この両捕手が理由の一つだ。

 来シーズンは、ジョージ・スプリンガーがセンターからライトへ移り、キアマイアーがセンター、バーショーはレフトを守ると思われる。このとおりにならなくても、いずれもセンターを守れる彼らが、外野トリオを形成する。

 また、キアマイアーとバーショーは、どちらも左打者だ。キアマイアーはともかく、バーショーは、打線においてもプラスになる。今シーズン、ブルージェイズでは、スプリンガーを含む5人が20本以上のホームランを打ったが、二桁本塁打の左打者とスイッチヒッターはいなかった。バーショーの27本塁打は、ラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)ら3人と並び、左打者では両リーグで9番目に多い。

 さらに、バーショーは16盗塁も決めている。ブルージェイズでは、スプリンガーの14盗塁が最多だった。

 なお、テオスカーと交換に、ブルージェイズがシアトル・マリナーズから得たのは、リリーバーのエリック・スワンソン(とマイナーリーガーの投手)だ。今シーズン、スワンソンは57試合に登板し、奪三振率11.74と与四球率1.68、防御率1.68を記録している。

 ブルージェイズのローテーションについては、こちらで書いた。

「菊池雄星はローテーションに入れるのか。3年6300万ドルで新たな投手が加わる」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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