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福岡ソフトバンク入団のアストゥディーヨは「驚異のフリースウィンガー」。見た目と違ってパワーは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウイリアン・アストゥディーヨ Jun 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月20日、福岡ソフトバンク・ホークスは、ウイリアン・アストゥディーヨの入団を発表した。

 アストゥディーヨは、31歳のユーティリティだ。メジャーリーグでは、内野の両コーナーと捕手を中心に、遊撃以外の8ポジションを経験している。通算登板は7試合だ。もっとも、二刀流ということではなく、スタットキャストによると、今シーズンの2登板で投げた23球の平均球速は50.5マイルだった。昨年5月には、「最も「加速」したホームラン。その打球は、投球の倍以上のスピードで飛んでいった」で書いた本塁打を打たれている。ちなみに、マイナーリーグでは、わずかながら遊撃を守ったこともある。

 打者としては、四球率の低さが目を惹く。今シーズンは1.8%、5シーズンの通算も1.9%。それぞれ、55打席で1四球と、588打席で11四球だ。1打席平均の球数は、2018年の3.08が最も多く、他の4シーズンは3.00に満たない。当然ながら三振率も低く、今シーズンは5.5%、通算は4.8%。基本的に3球以内に打席が終わる、とんでもない早打ちのフリースウィンガーだ。

 また、体型からすると、パワーはあるように見えるかもしれないが、実際はそれほどでもない。今シーズンは54打数で1本塁打、通算は561打数で16本塁打だ。今シーズンは、AAAの283打数で16本塁打を記録したが、メジャーリーグとマイナーリーグを合計しても、年間20本塁打に達したことはない。

 一方、バット・コントロールに長け、マイナーリーグの打率は低くない。今シーズンはAAAで打率.307(283打数87安打)を記録していて、AAAの通算打率は.310(856打数265安打)だ。メジャーリーグの通算打率は.267(561打数150安打)なので、高いとは言えないものの、1年目の2018年は打率.355(93打数33安打)とよく打っている。

 福岡ソフトバンクは、汎用性のある巧打の選手として、期待しているのかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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