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ベテランのDHと1年契約も、大谷翔平を手に入れる「布石」なのか。そうだとしても単なるつなぎではなく…

宇根夏樹ベースボール・ライター
J.D.マルティネス Sep 3, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・ドジャースは、DHを手に入れたようだ。ファンサイデッドのロバート・マリーらが、J.D.マルティネスとの契約合意を報じている。

 マルティネスは、2017~18年に2シーズン続けて40本以上のホームランを打ち、2019年も36本塁打を記録した。ただ、ここ2シーズンは、パワーダウンしている。両シーズンとも40本以上の二塁打を打っているものの、ホームランは計44本にとどまった。2021年が28本、2022年は16本だ。現在の年齢は35歳。ESPNのジェフ・パッサンによると、契約は1年1000万ドルだという。

 今オフ、ドジャースは、どのFAとも複数年契約を交わしていない。金額は、いずれも2000万ドル以下だ。このままいけば、来シーズンの終了後、ローテーションとDHのどちらにも、空きができる。これまでの動きと状況については、先日、「嵐の前の静けさ!? ドジャースの大型契約なしは、来オフに大谷翔平を手に入れるためなのか」で書いたとおりだ。マルティネスと1年契約を交わしたのも、来オフにFAとなる大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)を手に入れる「布石」のように見える。

 もっとも、マルティネスが大谷までの「つなぎ」のDHであったとしても、ドジャースが手に入れた理由は、それだけではないはずだ。2013年から続けているポストシーズン進出を、来シーズンも継続させる――――そして、2020年に続いてワールドシリーズを制する――ための補強だと思われる。

 2019年からドジャースで打撃コーチを務めているロバート・バン・スコヨックは、かつて、マルティネスを開花させた。2013年のオフに、バン・スコヨックとクレイグ・ウォーレンブロックの指導を受けたマルティネスは、フォームを変更して打球の角度を上昇させ、スラッガーとなった。その前の3シーズンは計252試合で24本塁打だったのに対し、2014年は123試合で23本のホームランを打った。

 ドジャースは、バン・スコヨックがマルティネスを「再生」させる、あるいはそうできる可能性がある、と見ているのではないだろうか。

 マルティネスは、今シーズンよりホームランを2本多く打つと、通算300本塁打となる。パワーを取り戻せば、このマイルストーンには、オールスター・ブレイク前に到達してもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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