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嵐の前の静けさ!? ドジャースの大型契約なしは、来オフに大谷翔平を手に入れるためなのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平@ドジャー・スタジアム Jun 14, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨オフ、ロサンゼルス・ドジャースは、6年1億6200万ドルでフレディ・フリーマンを迎え入れ、球団からFAになったクリス・テイラーを4年6000万ドルで呼び戻した。その前のオフは、トレバー・バウアーと3年1億200万ドルの契約を交わしている。2020年の夏には、バウアーと同じタイミングでFAとなる予定だったムーキー・ベッツを、12年3億6500万ドルの延長契約で引き留めた。

 一方、今オフは、2000万ドルを超える契約を交わしていない。金額を問わず、複数年契約も皆無。ここまでの総額トップ3は、クレイトン・カーショウの1年2000万ドル(再契約)、ノア・シンダーガードの1年1300万ドル、シェルビー・ミラーの1年150万ドルだ。

 ここから、ドジャースは、ダンズビー・スワンソンを手に入れる可能性もある。遊撃を守っていたトレイ・ターナーは、FAとなり、11年3億ドルでフィラデルフィア・フィリーズに入団した。スワンソンの契約総額は、相手がどの球団でも、1億ドルを超えるはずだ。

 あるいは、来オフに大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)がFAとなるまで、ドジャースは、資金を蓄えておくつもりなのかもしれない。

 来シーズンのローテーションには、現時点のメンバーからすると、フリオ・ウリーアストニー・ゴンソリン、カーショウ、ダスティン・メイ、シンダーガードの5人が並ぶはずだ。シーズンが終わると、1年契約のカーショウとシンダーガードだけでなく、ウリーアスもFAになる。ついでに言えば、出場停止中のバウアーの契約も、来シーズンまでだ。2024年のローテーションは、今年8月にトミー・ジョン手術を受けたウォーカー・ビューラーが戻ってきても、2枠が空いている。

 また、今シーズン、ドジャースでは最多の61試合でDHを務めたジャスティン・ターナーは、オフにFAとなった。満了した2年3400万ドルの契約には、年俸1600万ドルの球団オプションがついていたが、ドジャースはそれを行使せず、解約金の200万ドルを払うことにした。今のところ、DHとなりそうな選手は加入していない。このままいけば、マックス・マンシーウィル・スミスらが、内野とDH、捕手とDHといった具合に起用されることになりそうだ。しかも、ドジャースは、コディ・ベリンジャーをノンテンダーとしている。ベリンジャーは、1年1750万ドルでシカゴ・カブスに入団した(「大不振でノンテンダーとなったが、他球団から得た契約は今シーズンの年俸を上回る」)。

 単に、今オフは補強がうまくいっていないだけ、ということもあり得るが、ローテーションもDHも――ローテーションを5人と6人のどちらにするのかはさておき――大谷を加える余地は、十分あるように見える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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