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どのシーズンも「防御率4.00以上」の先発投手に「3年4000万ドル」は払いすぎ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・エフリン Jun 25, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 タンパベイ・レイズは、ザック・エフリンと3年4000万ドルの契約を交わし、ローテーションに加える。ESPNのジェフ・パッサンが報じている。

 エフリンは、来シーズンの開幕早々に29歳の誕生日を迎える。マイナーリーグ時代のトレードを経て、2016年のメジャーデビュー以来、フィラデルフィア・フィリーズでずっと投げてきた。

 今シーズンは、先発13登板で防御率4.37を記録した後、右膝の故障で2ヵ月半にわたって離脱し、復帰後はブルペンに回った。その前の6シーズンも、先発登板の防御率は4.00を超えている。2020年の防御率は3.97だが、リリーフとして投げた1登板を除くと、防御率は4.15となる。

 3年4000万ドルは、大型契約と呼ぶほどではないが、レイズがFAと交わした総額の史上最高を更新した。これまでの最高額は、ウィルソン・アルバレスの5年3500万ドルだった。この契約の締結は、デビルレイズ時代の1997年12月。最初のシーズンを迎える前のことだ。

 防御率からすると、レイズは、エフリンに払いすぎるようにも見える。ここ3シーズンに先発投手として計200イニング以上の120人中、エフリンの防御率4.23(リリーフ登板は含めず)は81位だ。

 ただ、FIPは3シーズンとも3.70以下で、トータルの3.63は40位。防御率は下位の3分の1だが、FIPは上位の3分の1に位置する。また、3シーズンの奪三振率8.80はほぼ中央の58位ながら、与四球率1.76は5番目に低い。

 FIPや与四球率だけでなく、レイズのフロントは、これからエフリンが活躍しそうな要素を他にも見出しているのかもしれない。乏しい資金をやり繰りし、オープナーのような工夫も凝らしながら、レイズは、ここ4年ともポストシーズンに進出している。

 ちなみに、投の左右や年齢は違うものの、ロサンゼルス・エンジェルスがタイラー・アンダーソンと交わした契約は、エフリンの契約とほとんど変わらない。こちらは、3年3900万ドルだ。ここ3シーズンのアンダーソンは、先発登板時に、防御率3.70とFIP3.92、奪三振率6.92と与四球率2.16を記録している。

 アンダーソンについては、こちらで書いた。

「エンジェルスが3年3900万ドルで手に入れた先発投手は「本物」なのか。今年は防御率2.57だが…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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