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本塁打王を獲得したものの、MVP投票ではわずか2ポイント。これは史上最少!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)Jun 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 各リーグの本塁打王のうち、62本のホームランを打ち、ア・リーグのシーズン記録を塗り替えたアーロン・ジャッジ(現FA)は、MVPを受賞した。記者30人中28人から1位に挙げられ、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)に130ポイントの差をつけた。

 一方、ナ・リーグでは最も多い、46本塁打のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、MVP投票でトップ10にも入らなかった。サザン・カリフォルニア・ニューズペーパー・グループのビル・プランケットから、9位に挙げられただけ。得たのは2ポイント、順位は16位タイだ。クローザーの2人、ダニエル・バード(コロラド・ロッキーズ)とエドウィン・ディアズ(ニューヨーク・メッツ)と並び、その下には――もちろん、大半の選手は0ポイントだが――1ポイントのスターリング・マーテイ(メッツ)しかいなかった。

 本塁打王がMVP投票で2ポイントというのは、史上最少かもしれない――。そう思って調べたところ、違っていた。2019年に48本のホームランを打ち、ア・リーグの本塁打王を獲得したホルヘ・ソレーア(当時カンザスシティ・ロイヤルズ/現マイアミ・マーリンズ)は、MVP投票で1ポイントしか得ていない。順位は21位タイだ。さらに遡れば、0ポイントの本塁打王もいるかもしれない。

 今シーズンのシュワーバーは、ホームランの本数に加え、12.5打数/本塁打とISO.286もナ・リーグで規定打席以上の63人中1位ながら、出塁率は.323に過ぎず、順位も36位と低かった。真ん中よりも下ということだ。もともと得意ではない外野の守備も考慮すると、MVP投票で2ポイントも、理解できなくはない。

 ただ、シュワーバーがいなければ、フィリーズのポストシーズン進出は実現しなかったかもしれない。前年にMVPを受賞したブライス・ハーパーは、シーズン中盤に2ヵ月離脱した。シュワーバーと同じく、昨オフに加入したニック・カステヤノスは、前年の34本塁打とOPS.939から一転し、13本塁打とOPS.694に終わった。2012年から2021年まで、10年間にわたり、フィリーズはポストシーズンから遠ざかっていた。このブランクは、ナ・リーグでは継続中の最長だった(「「ポストシーズンから最も遠ざかっているチーム」はエンジェルスとタイガースに。最後の進出は8年前」)。

 3年前のソレーアは、12.3打数/本塁打とISO.304が3位、出塁率.354が21位、OPS.923は7位(ア・リーグで規定打席以上の62人中)。こちらも外野の守備に難があり、ライトを守るだけでなく、DHとしての出場も多かった。この年のロイヤルズは、前年に続いて100敗以上を喫した。

 なお、シュワーバーは、今年のポストシーズンで6本塁打と3盗塁を記録した。ホームランは、チームメイトの2人、ハーパーとリース・ホスキンスと並ぶ最多タイ。盗塁は、単独最多だ。盗塁失敗はなかった。15四球、3敬遠四球、犠牲フライ2本も、最も多かった。

 また、ワールドシリーズ第3戦のホームランにより、シュワーバーは、史上初の選手となった。ナ・リーグのワイルドカード・シリーズ/ゲーム、ディビジョン・シリーズ、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズと、ア・リーグのワイルドカード・シリーズ/ゲーム、ディビジョン・シリーズ、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズに、ワールドシリーズ。この7シリーズのいずれでもホームランを打っているのは、シュワーバーだけだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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